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[No.726-1]息を潜めて

No.726-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「・・・ん?」

よほどそれとは縁遠い場所に、張り紙がしてある。

「何だよ・・・これ」

立ち止まり、そこに書いてあった内容を目で追った。

「うちも、それ見た!」

いつになく、口調が荒い。
怒っているというより、憤慨している感じだ。

「あんな所に張ってるなんて初めて見たよ」

いつも通る小道の両側が草木で覆われている。
夏の名残もあり、歩くのにかなり邪魔になるほどだ。

「うちも初めてみたわ」

その草木の一部に張り紙がしてあった。
簡単に言えば“撤去しなければ、この木を切る”と書いてあった。

「確かに人為的なものも多いよな」

雑草以外に、立派な草木も生えている。
それらを選んで張り紙がされている。
もちろん、雑草は雑草で刈り取られるようだった。

「恐らく、近所の人が植えたんだろうね」

隣接する民家と小道の境目も曖昧だ。
だから、明確な悪意を持って植えたとは思えない。

(No.726-2へ続く)

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