[No.721-2]空中一回転
No.721-2
「そこまで言われると気になるわね」
まさしく遠い記憶が蘇ろうとしている。
「・・・何らかの遊び・・・とか?」
「子供の頃なら、そうかもしれないよ」
確かにそんな感じもする。
子供の頃は、それこそ遊びの天才だった。
あるモノ、見るモノ、遊びに変えた。
「そうだな・・・傘なんて格好の的になるよね」
剣にもなるし、バットにもなる。
大人の真似をして、ゴルフのクラブにしたこともあった。
「けど、それならいつでも思い出しそうだけどね」
「・・・だよな」
もう一度、傘をマジマジと見つめてみる。
その時だった・・・さっき以上の突風が吹き抜けた。
「わぁっー!!」
傘が僕の手を離れ、宙を舞い始めた。
その瞬間、完全に“何か”を思い出した。
「空中一回転!」
開いた傘を宙に放り投げ、地面に落ちる前に一回転すれば成功だ。
名付けて“空中一回転”・・・僕が考案した遊びだった。
(No.721完)
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