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[No.721-1]空中一回転

No.721-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「・・・何だろう?」
「どうしたの?傘なんか見つめちゃって」

急に雨が降り出してきた。
大急ぎで傘を広げたその時だった。

「・・・なにかを思い出したんだよね」

頭の中の記憶ではなく、体が何かを覚えていた。

「何かって・・・なに?」
「それが自分でもよく分からなくて」

体が何かを思い出そうとしている。
傘を広げた時に。

「傘を広げるなんて、日常茶飯事だよね?」
「そうなんだけど」

ただ、さっきは突発的な風にあおられて、傘が大きく揺らいだ。

「その瞬間なんだよね」

妙な感覚に襲われた。
体が何かに反応している。

「懐かしい感覚・・・と言ったほうがいいのかもしれない」

子供の頃、体験したような・・・そんな感覚だ。

(No.721-2へ続く)

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