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[No.713-1]おふくろの味

No.713-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「私はね・・・」

流れで、“おふくろの味”の話になった。
テレビ等ではよく見聞きする話題だ。

「あなたは?」
「・・・そうだな」

今まで考えたこともない。
でも、すぐにある料理が思い浮かんだ。

「鶏のあし・・・」
「・・・あし?」

“骨付きのもも肉”と言えば良いのだろうか?
スーパーなどに普通に売られているものだ。

「早い話、クリスマスとかに、“かぶりつく”やつだよ」
「あぁ、アレね!」

その味付けに特徴があった。
多分、一般的なものではないだろう。
実家を離れて以来、それを口にしたことも店で見かけたこともない。

「どんな味だったの?」
「正確じゃないんだけど・・・」

微かな味の記憶を辿る。

「多少甘みがある、しょうが効いた味だったと記憶している」

醤油を使っていないためか、スープは透明に近い。
それで軽く煮込んだ料理だった。

「へぇ~何だか、美味しそうね」

味の記憶は不確かでも、美味しかった記憶は確かだ。

(No.713-2へ続く)

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