[No.709-1]ぬけがら
No.709-1
登場人物女性=牽引役
女性=相手
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「わぁっ!気持ち悪いぃ!」
「急に何よ!?ビックリするじゃない」
ある生き物と目が合ってしまった。
正しくは、もう生きていないが・・・。
「見てよ、あれ・・・」
目の高さの木の葉っぱに、セミのぬけがらがくっついていた。
それも、ひとつやふたつじゃない。
「大量じゃん!」
少なくとも十匹分はある。
「初めてみたよ、こんなにたくさん」
ひとつやふたつ程度ならよく見かける。
「でもさぁ、そのうち見かけなくなるよね?」
「それはそうよ」
たかがぬけがらだ。
そう長く、もつはずもない。
「じゃ、記念に一匹どう?」
そう言うと、ひとつ取って私の顔に近づけた。
「ちょ、ちょっとぉ!殴るわよ!」
セミ以上にうるさい私たちだった。
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