[No.705-2]スタブロ
No.705-2
「日常生活の中では使わない言葉だよな」
私だって、高校を卒業して以来、一度も使ったことがない。
「なんでまた急に思い出したの?」
「えっ・・・まぁ・・・テレビを見てたら・・・」
端的に言えば、青春ドラマをやっていた。
その際、スタブロが目に入った。
「それがアップになったシーンがあって」
もちろん、それ自体を目にする機会は全くないわけじゃない。
でも、今まで気に留めたことはなかった。
「そのドラマを見てて、色々思い出しちゃったのかな・・・」
当時、学校は違えど、付き合っていた彼も、陸上部だった。
「スターティングブロック・・・略して、スタブロ」
「・・・関係者しか分からないよね、きっと」
確かにそうだろう。
「思い出すよな・・・スタート時の緊張感・・・」
「そして、号砲で一気に飛び出す開放感!」
ここへ来て、先輩との距離がグッと近くなった。
今は思えば、この時、私たちの恋もスタートをきっていた。
(No.705完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(029)小説No.701~725」カテゴリの記事
- [No.725-2]営業中(2016.10.25)
- [No.725-1]営業中(2016.10.23)
- [No.724-2]不完全燃焼(2016.10.21)
- [No.724-1]不完全燃焼(2016.10.20)
- [No.723-2]邪魔者(2016.10.16)
コメント