[No.695-2]ショートカット
No.695-2
「・・・で、どうだったの?」
「意外に覚えてたわ、道や建物を」
夜にもかかわらず、迷うことなく歩けた。
それこそ、車が通れない狭い道までも。
「街灯もほとんどないから、結構真っ暗なのよね」
「それって、危なくない?」
都会ならそうかもしれないが、幸か不幸かそれはない。
「・・・じゃなくて、あなたが“危ない人”って思われない?」
「そっちぃ!?」
本当は昼間にゆっくり歩きたかった。
けど、翌日は朝早くに帰らなければならなかった。
「歩いただけでも懐かしかったわ」
「そうね・・・わかる」
辺りが真っ暗でも、体が何かを覚えている。
そんな気がした。
「それに、久しぶりにあることをしちゃったの」
「なになに!?」
畑の脇を抜ければ早く家に着ける、そんな場所があった。
小さい頃、冒険心をくすぐられ、よくショートカットした。
「でも、畑の持ち主に見つかって、よく怒られたなぁ・・・」
今回の小旅行を締めくくるには丁度良いイベントだった。
(No.695完)
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