[No.690-2]最後の手紙
No.690-2
でも、渡したのは覚えているのに、どこで渡したか覚えてない。
「どういうこと?」
「いつもなら、学校内で渡してたんだけど」
最後の手紙だけは、場所の記憶がない。
「少なくとも学校の中ではないと思うんだけど・・・」
それに手紙だからと言って郵送したわけでもない。
「じゃあ、外で会ってた時くらいしかないわよね?」
「でも、そうそう外では会わなかったし」
付き合っていると言っても高校生だ・・・たかが知れてる。
「友達に頼んだとか?」
「ううん・・・ちゃんと彼を目の間にして渡したよ」
辛い出来事なので、記憶が消失したのだろうか?
とにかく、どこで手紙を渡したのか覚えてない。
「それなら、同じことする?」
幸か不幸か、元カレがまだ地元にいることは知っていた。
「ねっ!聞いてスッキリしたでしょ?」
「まぁ・・・ね」
スッキリした反面、“知らなかった方が良かった”とも思った。
「渡したんじゃなくて、彼から“渡されてた”なんて・・・ね」
それも校門すぐ出たところで渡されたようだった。
こんなシチュエーションなら覚えてられない・・・笑っちゃうけど。
(No.690完)
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