[No.690-1]最後の手紙
No.690-1
登場人物女性=牽引役
女性=相手
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(・・・自分の時はどうだったっけ?)
あらためて振り返ってみても肝心な部分が思い出せない。
「最後の手紙?」
「うん、昨日テレビでさぁ・・・」
学生時代の元恋人に会いに行く企画をやっていた。
「それなら、私も見たよ」
「女性が元カレに会いに行ってたよね?」
企画としては特に珍しいものではない。
逆にありがちな内容だ。
「それで、手紙の話になったでしょ?」
今は珍しいかもしれないが、昔は手紙のやり取りも多かった。
そう簡単には電話では話せなかったからだ。
かと言って直接話すのも照れくさい。
「そうそう!それって“恋愛あるある”だよね」
「私もそんな感じだったの」
クラスが違うこともあり、休み時間に渡すことが多かった。
「・・・でも、卒業を前に別れることになったんだ」
別れる理由は、正直もう覚えていない。
ただ、最後に手紙を渡したことは覚えている。
「それが、テレビと同じだった?」
「そう」
テレビの女性も元カレに手紙を渡した。
最後の手紙を。
(No.690-2へ続く)
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