[No.686-2]謝恩会
No.686-2
「・・・ということは、そこに好きな人が居たの?」
当然の展開だろう・・・でも、決して、そうではなかった。
「いいや、当時、他の学校の子とつきあってたから」
確かに女子は居た。
先輩にも後輩にも、そして同級生にも。
「それなら女子を意識して?」
「いや、それもないな」
悪い意味ではなく、彼女たちは眼中になかった。
女子と言うより、部員として見ていたからだ。
「とにかく、姉に頼み込んで」
可能な限りのオシャレをした。
「まぁ、色気づく年齢だったこともあるんじゃない?」
「そうだな・・・そんな気がしてる」
話を戻せば、それ以外、ほとんど記憶に残っていない。
何を話し、何を食べたのだろうか・・・。
「もう一度聞くけど・・・」
「だから、飲んでないよ!」
大切な想い出のはずなのに、悲しいくらい覚えてない。
多分、アレの印象が強すぎたからだろう。
「・・・アレ?」
謝恩会の帰り、高校のグランドで最後の練習をした。
その時、本当の意味で先輩に感謝し、皆で泣いた。
(No.686完)
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