« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »

2016年4月

ホタル通信 No.282

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.218 願いがかなったら
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

比較的、初期の話と言うこともあり、内容が散らかっている感が半端ないですね。

散らかっている感・・・言い換えれば狙い過ぎと言いましょうか、ナチュラル感がないので、読んでいると疲れます。
時々、「良いことを言うぞ!書くぞ!」的な発想が優先され、結果、何とも残念な作品が生まれることがあります。

さて、それでも実話度はそこそこ高めで、会話の主軸である「信号に引っ掛からなかった話」は事実です。
それを珍しいこと→ホールインワンと結び付けてしまったのが失敗だったのかもしれませんね。
ただ、それ自体、問題はなかったのでしょうが、後半、遠回しに“もったいぶる”表現が増えたので、何を言わんとしているか、作者でさえもよく分かりません。
それでも、よくよく読み返してみると、運を使い果たしたように見せかけて・・・からの告白成功!がオチみたいですね。自分で言うのもおかしいですが。

冒頭にも書きましたが、初期の頃は何でもかんでも恋愛に結び付けよう・・・みたいな作風だったのは否めません。
今でも多少はそのなごりはありますが、昔ほど強烈ではなくなりました。これも時の流れなんでしょうか?
T282
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.685-2]同じ匂い

No.685-2

「けど、俺は焼肉の匂いとかの方がいいけどな」
「もぉ!」

(やっぱり、男子に“花”の話をしても無駄か・・・)

まさしく“花より団子”かもしれない。

「仕方ないだろ?食べ盛りなんだし」
「それは否定しないけど・・・」

まぁ、ここまで話に付き合ってもらっただけでも良しとしよう。

「・・・あれ?」
「なんだよ?」

そう言えばどうして彼にそんな話をしたのだろう。
まだ、彼のことを良く知らない・・・それは彼も同じだろう。

「こんなに話したの、初めてだよね?」

同じクラスになって1年も経つのに、彼とまともに話した記憶がない。

「・・・だよな」

不思議と彼に話したくなった。

「やっぱり・・・花、好きじゃないよね?」
「えっ!いや・・・別に嫌いじゃないというか・・・好きかも」

さっきまでの悪態とは打って変わったような反応だった。

「それなら帰りに、見に行こうよ・・・一緒に」

これが事実上の告白になった。
S685
(No.685完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.685-1]同じ匂い

No.685-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
香りで季節を感じる。
私の中では、小さい頃からの定番のひとつだった。

「今日さぁ、学校に来る途中に・・・」

色鮮やかな花々が咲き誇る、家の前を通った。

「知ってるよ、あの家だろ?」

友達が、窓の外を指差した。

「あっ!ここから見えるんだ」
「目立つからな」

確かに良い意味で、ひときわ異彩をはなっている。
遠くからでも赤や黄色がまぶしい。

「その家がどうした?」
「いい香りがするんだよね」

当たり前だが人工的ではない自然な花の香りがする。

「それが、なんとも言えなくて」

季節が変わるたびに香りも変わる。

「そう言われるとそうだよな」

その気がなくても、体が覚えているようだった。

「でしょ!」
「今朝もいい香りがしてたよな」

ただ、何の香りかまでは分からなかった。

(No.685-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.684-2]意味のない行動

No.684-2

「友人と会わないときに」

電車を乗り継いで、遠くに出掛けた。
目的も目的地も決めていなかった。

「でも、海沿いの駅で降りることが多かったわ」
「それなら“海”が目的であり、目的地じゃん!」

確かにそうなる。
けど、そこに何があったのだろう・・・。

「何が?」
「うん、だからこそ“意味のない行動”なの」

特に何をするわけでもなく、ブラブラするだけだ。
心は上の空だった・・・それは今でも覚えている。

「ただ、海に惹かれるのは何となく分かるけどね」

ある意味、恋愛の聖地だ。
そこから恋が芽生えることもあれば、終わることもある。

「出会いを求めてた?」
「・・・どうだろう」

けど、それだと何だか表現がいやらしい。
心のすきまを埋めるために、男を漁っているように聞こえる。

「まぁ、行動には意味が無かったのかもしれないけど」
「成長するには意味があったんじゃない?」

その言葉通り、意味のない行動でも、意味があったと思いたい。
S684
(No.684完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.684-1]意味のない行動

No.684-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
私が大学に在籍していたときの話だ。

「意味のない行動?」
「うん・・・帰省した時に」

地元を離れ一人暮らしをしながら大学に通っていた。

「地元の友人と遊ぶんだけど」

とは言え、大型連休ともなればそう毎日とは行かない。
友人は友人で用事がある。
私が知らない“友人”との用事が・・・。

「・・・それ分かる」
「ちょっと、切なくなるよね」

今でも親友であることに変わりはない。
けど、昔は私たちの間に入り込む者は居なかった。

「なんとも言えない気持ちになるのよね」

適切な言葉が見つからない。
それに、友人もそのまた友人も悪いわけではない。

「時が流れていることに、私が鈍感だっただけ」

私の時間だけが、昔のままだった。

「それより、意味のない行動って?」
「ごめん、ごめん、そうだったわね」

友人の言葉を借りれば“切なさの”穴埋めだったのかもしれない。
私の行動は・・・。

(No.684-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.281

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.390 折れた定規
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

最初に言ってしまえば、この折れた定規を今だに使っています。

実のところ、小説で登場している物と実物は形状が異なっています。小説だとごく普通の定規を思い浮かべると思います。
説明し難いのですが、実物は折りたたみ式になっていて開くと30cm、たたむと15cm程度になる代物です。
自分で言うのも変ですが、“こんなもの”まで小説のネタにしてしまうことにビックリです。
・・・とは言え、似たような小説を結構、発表しています。
捨てようにも捨てられない話、大事にしているつもりはないのに残っている話などです。
これには理由があります。特に自分では意識をしているつもりはありませんが、そこに“人”を重ねてしまうことが多いからです。
つまり、捨てる、捨てない、捨てられる・・・物ではなく人間に置き換えても通じる言葉です。

今でも重宝して使っています、不思議なくらい。
そう考えると、30cmという長さも、折りたためることも必要ないことになりますね。無理矢理言えば、“過剰な機能”なのかもしれません。
最後になりますが、この小説もご多分にもれず、折れた定規に“人”を重ねています。微妙な伏線を張りつつ、最後の一行に全てをまとめました。
T281
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.683-2]雪解け

No.683-2

「でも、彼もどうしたんだろうね?」
「返事を返すようになって」

良い方向へ向かう“心境の変化”があったと思いたい。

「ただ、まだ以前と同じレベルじゃない」

喧嘩する前は、返事をすぐに返してきてくれた。

「彼も仲直りしたいと思ってるんじゃない?」
「そうなのかな・・・」

言葉とは裏腹に、そう思いたい自分が居る。

「絶対、そうよ!ここまでこじれたら、言い出し難いじゃん」
「“ごめん”の一言が」

彼と喧嘩して半年が過ぎようとしていた。

「こじつけになるけど、そろそろ雪解けの季節でしょ?」

確かにこじつけだ。
けど、今の私たちの状態を、ピタリと言い当てている。

「喧嘩という冬の季節を終えて・・・ってこと?」
「あら、あなたも上手いこと言うじゃない!」

季節に呼応するかのように、返事も早くなってきた。
私たちの雪解けも、もうすぐかもしれない。
S683
(No.683完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.683-1]雪解け

No.683-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
雪解けの水は、春の陽射しを受けてキラキラと輝いている。

「彼と仲直りできそう?」
「・・・ようやく、少し動き出したかも」

たわいもないことで、彼と喧嘩をしてしまった。
それ以来、音信不通になっていた。

「LINE送ったら、返信してくれるようになったの」

ただ、返信は数日後に忘れたように返ってくる。

「まずはよかったじゃん・・・」
「そう思うようにしてる」

今までは、なしのつぶて・・・いわゆる“既読スルー”だった。
そう考えれば随分、良くはなった。

「そう言えばさぁ・・・」
「結局、喧嘩の原因って何だったの?」

実は肝心の“それ”が分からない。
正確に言えば原因は分かっている。
けど、なぜそれに対して怒っているのかが分からない。

「聞いても教えてくれないから」

結局、お互い意地の張り合いに発展してしまった。
理由が分からぬまま・・・。

(No.683-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.682-2]超能力

No.682-2

「つまり、予知能力ってことね」

そうなると、次の車のナンバーに期待が掛かった。

「・・・でどうなったの?」

もちろん、次の車の予想をしようとした。

でも、友達に止められてしまった。

「どうして?」
「超能力だとしたら、余り力を使わない方が良いってことになって」

超能力にも限りがある・・・そんなことを友達が言い出した。

「・・・そうなの?」
「正直、分からないけど」

その時は、妙に納得できた。

「だから、3回目には挑戦しなかったんだ」

それもあって、自然とナンバー当てをしなくなって行った。

「いざと言う時に、その力をとっておけって」
「なんか、すごい展開になってたのね」

まるで、救世主かのような扱いだった。

「まぁ、中学生だからな」
「そうね・・・超能力とかUFOとかに興味がある年頃だもんね」

けど、今でも思うことがある。
あの時、挑戦していたらどうなっていたのか・・・と。
さすがに、3連続は偶然では片付けられない。

「じゃぁ・・・私たちの結婚記念日はいつになるのかしら?」
「その力を今、使ってよ」


僕は結婚記念日を当てることが出来た。
それもそのはずだ・・・そうなるように行動したからだ。
S682
(No.682完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.682-1]超能力

No.682-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「次は・・・5685!」

それは学校帰りの手軽な遊びだった。

「車のナンバー当て?」

春先は何かと学生時代の話に花が咲く。
いつも以上に彼らが“目立つ”からだ。

「うん、中学生の時、学校の帰りに友達と」

通り過ぎる車のナンバーを予想する。
そんなごくシンプルな遊びだった。

「でも、そう簡単には当たらない」
「そりゃそうよ、数学的に言えば」

たかが4桁の数字とは言え、当たらない。

「ところがさぁ・・・」

ある日、僕がナンバーを当てた。

「へぇ~すごいじゃん!」

もちろん、単に偶然と言うか、まぐれだ。
続けていればいずれ当たる・・・それだけに過ぎない。
ただ、この話には続きがあった。

「それで、調子に乗って、次の予想をしたら・・・」

これも当たってしまった。

「えっ!かなりの確立よ」

偶然以外の何物でもないことは承知している。
けど、2回も続くとなれば・・・。

「もう、大騒ぎになってさぁ」

僕に超能力でもあるんじゃないかと・・・。

(No.682-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.280

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.392 片目の子猫
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

たまに、登場人物が自分だけというパターンの話があります。独り言であったり、回想であったり・・・。

今回の話は、人間としては自分だけですが、猫という相手が居ます。終始、このペアだけで話が進むパターンはこの小説以外ないのかもしれません。
通常はすぐに舞台を「会社に来る前にね」とか「昨日ね」とかに変えて、そこから人間同士の会話を、スタートさせています。
その意味では自分で言うのもなんですが、非常に珍しい小説のひとつと言えます。

さて、小説上の牽引役は男性になっていますが、実話度は100%なので、恒例ですが本当かどうかは秘密です。
100%実話ですから読んで頂いた通りです。かなり忠実に再現したつもりです。
動物・・・特にケガをしていたり、弱っている動物を見かけた時、なにもできない自分がいることに気付きます。どんなにきれいごとを言っても、結局、行動に移せない・・・そんな想いもこの小説には込められています。

野生の掟、弱肉強食と言ってしまえばそれまでなんですが、少なくとも人間社会の一員である彼らに対して、そう簡単に割り切れるものでもありません。
あの時、動き出したことに対して“色んな意味”でホッとした自分を、今でも覚えています。

最後になりますが、小説のラストの一行・・・ある女性と重なったのも事実です。その女性とは「せいじゅうろうシリーズ」に登場する“菜緒(なお)”なんですよ。
T280
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.681-2]今年の始まり

No.681-2

「始めてから今年で何年目だっけ?」
「5年目よ・・・いじわるね」

家庭菜園を始めて今年で、もう5年目になる。
つまり、前の彼と別れてからも5年目になる。

「いい加減、忘れたら?」
「・・・忘れたわよ、もう」

この言葉に嘘はない。

「でも、彼の影響でしょ?」
「そうよ・・・けど、今は好きでやってるだけ」

彼を忘れたくないから続けているわけじゃない。

「それならいいけど」
「・・・そう言うこと!」

彼のことはもう忘れた・・・5年目にして、ようやく・・・。
そのことは言えないが。

「ところでさぁ、ゴーヤ好きだっけ?」
「嫌いじゃないよ」

嫌いじゃないけど、好んでは食べない。

「じゃあ、どうしてゴーヤを選んだの?」
「どうしてって・・・今年の夏を頑張るためよ」

そろそろ次の恋に進まなければいけない。

「さっき、芽が出てきたばかりと言ったでしょ?」
S681
(No.681完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.681-1]今年の始まり

No.681-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「もう始めた?」
「えっ・・・なにを!?」

友人が私に会うなり、問い掛けてきた。

「アレに決まってるじゃない?」
「アレ?・・・あぁ、アレね」

話を合わせたのではない。
本当にようやく気付けた。

「ごめん、ごめん!もう始めてる」
「もぉ!毎年のことでしょ?」

確かに毎年、今頃始める。

「芽が出てきたばかりよ」

春先の話題のひとつがこれだ。
家庭菜園も随分と板に付いてきたようだ。
友人に先を越されるようになったからだ。

「ところで、やっぱり・・・」
「ううん、新しいのにチャレンジしようと思って」

今年は、ブロッコリーとゴーヤに決めた。

「ブロッコリーとゴーヤ!?」
「そぉ!特にゴーヤなんて夏らしくていいでしょ?」

夏バテに効果があると聞いた。
今年は特にこれが必要になるはずだ。

(No.681-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.680-2]巣立ち

No.680-2

「僕の場合、休み時間に」

小学校が同じだった、隣のクラスの人と会っていた。

「なぜだか分かる?」
「・・・なんとなく、話の流れが見えてきたわ」

入学当初は、自分のクラスになかなか馴染めない。
それは、僕に限ったことじゃない。
他の人も休み時間になれば他のクラスの人に会いに行っていた。

「そう言えば、私もそのくちだったわ」

ただ、良い意味でそう長くは続かない。

「次第に、みんな自分のクラスで友達ができるんだよね」

それに、僕が会っていた人とは特別仲が良かったわけじゃない。

「向こうは向こうで・・・でしょ?」
「・・・だな」

お互い、利益が一致したんだと思う。
友達ができるまでの一時しのぎとして。

「けど、悪いことじゃない」

誰もが通る道であり、試練だと思っている。

「だから、彼らも・・・そうなのかな?って」

こうして彼らは入学したばかりなのに“巣立って”行くのだ。
S680
(No.680完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

お知らせ

『冬のホタル』に、ご訪問頂きありがとうございます
道端の石ころも、磨けば宝石に負けないくらいの輝きを生むことだって・・・そんなブログです。

小説の楽しみ方について
・文字の色は話の牽引役が黒、その相手は茶、その他の登場人物が居る場合は適当に色を付けています。
・「話の牽引役」は主人公ではなく物語を“引っ張る人”です。つまり、一人称小説における語り手になります。
・登場人物は =男性 =女性 を表しています。
マークは現時点から時間や場所の変化があったり、回想シーンに入った時や戻って来た時にも挿入しています(No.200~No.359までは、マークを使用)
マークはNo.200より対応、これ以前は未対応です。

「ホタル通信」について
・2010年01月からスタートさせたコーナーで掲載済み小説の舞台裏やエピソード、作者の想いなど紹介しています。
・小説の実話度に応じて、0%~100%の表示と「★マーク」を付けています(★ひとつの実話度は20%)
・小説の牽引役が語り手となり作者を代弁しています。

「せいじゅうろう」シリーズについて
・せいじゅうろうとは菜緒(なお)が名付けたリラックマの名前。
・彼女と彼?が繰り広げる、なんとも愉快な日常。そしていつもそれに巻き込まれてしまう“俺”・・・。

2023/11/17 
本日より掲載を再開します。
2023/11/11  
都合により11月11日~11月16日までお休みします。再開は17日を予定しています。

web拍手 by FC2ブログランキングへブログランキングへにほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ

| | | コメント (28) | トラックバック (0)

[No.680-1]巣立ち

No.680-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
ある意味、最初に訪れる試練とも言える。
それは僕も経験済だった。

「最近さぁ・・・」

朝、自宅近くの公園に、何人かの学生が集まり始めた。

「何の集まり?」
「単に学校へ行く前の待ち合わせだと思う」

多分、背格好からして中学生だろう。

「それに、新一年生だろうな」
「なぜ、わかるの?」

制服と体がマッチしていない。
まだ型崩れしていない制服の新品感が半端ないからだ。

「なるほどね!」
「それで・・・5、6人くらいかな?」

いわゆる“集団登校”をしている。

「別に珍しくはないよね?小学生じゃないにしても」

確かに同僚の言う通りだ。
ただ、1ヶ月もしない内に彼らは集まらなくなるはずだ。

「・・・どうして?」
「僕と同じ理由で」

シチュエーションは違えども本質は同じはずだ。

(No.680-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ホタル通信 No.279

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.221 同居
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

小説では、“自宅に戻る”ことが主軸になっていますが、実際には戻ることはありませんでした。

一人暮らしをしていること、そして、一人暮らしを始めた理由についてはオブラートに包んではいますが、ほぼ小説通りです。
一人暮らしを始めた理由を知った時、かなり驚きました。
今までそのような人と接することがなかったからです。

なぜ、自宅に戻る話にしたのか・・・正直、覚えていないのが本音です。
ただ、ひとつ言えるのは“戻りたがっていた”ように見えたからです。言葉の端々にそれが表れていました。
でも、幼い頃の悪い記憶とでもいいましょうか・・・そう思っても体はその通りには動いてくれません。

全体的には、決して明るい話ではありません。むしろ前述した通り、オブラートに包まなければ、聞くに堪えない話があるほど、かなりダークな一面を持っています。でも、それをさらっと話してしまう・・・そんな女性でした。
それもあってラストは、無理がない程度にコミカルに終わらせています。
T279
web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.679-2]箱庭

No.679-2

「ここは、“妖精の街”って感じね!」

確かにその表現がしっくりくる。
妖精たちが、思い思いの街を作り上げている。

「色んな物を、集めて」
「競い合ってるのかもしれないね!」

本があったり、バケツがあったり・・・。
人間が捨てたものをどこかで、拾ってきたものだろう。
何となく・・・悪い気がしないでもない。

「まぁ・・・それでも、彼らは楽しそうじゃん!」

拾ってきている姿が目に浮かぶ。
みんな楽しそうだ。

「すごいよね、これ作った人・・・」
「そうね、色んなストーリーが詰まってる」

目を凝らせば、色んなところにストーリーが散りばめられている。
みんな思い思いに生きている。

「何時間みても飽きないよ」

実際、かなりの時間、ショーウィンドウの前に張り付いていた。

「癒されるよね」

もしかしたら大自然よりも、その効果が大きいのかもしれない。
ここでは全体を一望できるからだ。

「私も始めてみようかな・・・箱庭」

小さいながらもベランダがある。

「それなら・・・もう一度、夢と希望を詰め込んでみない?」
S679_3
(No.679完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

[No.679-1]箱庭

No.679-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
それは、箱庭と呼ぶのがためらわれる程の大きさだ。

「どれくらい?」
「・・・そうね」

スマホの写真と言葉だけでは伝わらない。
実際に目にしたスケール感を思い出す。

「幅は2メートルくらいで、高さは・・・それ以上かな?」

背の高い木も高さに入れるとそれくらいになる。

「結構な大きさよね?」
「うん、それが5つくらい展示してあったかな?」

話を戻せばそれはデパートのショーウィンドウの中にあった。
そのスペースを生かして、“小さな庭”が再現されていた。

「それぞれ、個性的でさぁ・・・」

リアルな庭ではなく、幻想的で何とも楽しげな庭だ。

「・・・この、白いのはなに?」
「あっ!これね」

色こそ違えども、雰囲気はカエルだ。
ただ、人間ぽく作ってある。

「私は、カエルの妖精だと思ってる」
「そう言われてみれば・・・」

この幻想的なスペースにこれ以上ないほどマッチしている。

「ほら、これなんか・・・」
「なにを話してるんだろうね!」

絶妙な表情と仕草がなんとも印象的だ。
どう見ても、楽しげに会話をしているとしか見えない。

(No.679-2へ続く)

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »