[No.676-2]無駄な時間
No.676-2
「心配ごとでもあるの?」
聞いたのはいいが、“ない”ほうが珍しいのかもしれない。
「ほら、私、料理とか・・・何もできないじゃない?」
「まぁ、私もだけどね」
花嫁修業らしきことは一切していない。
毎日をただ、おもしろおかしく生きてきた。
「今になって、ちょっと後悔してる」
「・・・」
友人と過ごしてきた日々はそれはそれで楽しかった。
けど、後に残るものがないのも事実だ。
「無駄な時間を過ごしてきたのもしれない」
「・・・そうね、私たち」
友人のプロポーズ話が、思わぬ方向に向かった。
「でも・・・ね」
確かに何も残らない日々を過ごしてきた。
「それもそのはずよ」
「・・・どういう意味?」
私たちの今は、無駄な時間でできている。
言い換えれば、無駄な時間を燃料にして走ってきた。
「いつだって、完全燃焼だったでしょ?私たちって!」
(No.676完)
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