[No.668-2]・・・発明記念館
No.668-2
「なに描こうか?」
「せいじゅうろうに決まってるやん!」
あえて聞く必要もなかったみたいだ。
「・・・ほいっ!」
「なんだよ?“ほいっ!”て・・・」
菜緒(なお)が、容器を俺に差し出した。
「もしかして、“描いて”ってこと!?」
「うちな、ヘタクソなんやもん・・・」
ここに入る前とは別人のような、おしとやかさだ。
ただ、絵心がないとは意外な事実を知った。
「へぇ~知らなかった」
普段、描く機会がないこともその理由のひとつだろう。
「まぁ、いいけど・・・」
嫌々な雰囲気を出しながらも、内心は違う。
そこそこ自信があるからだ。
「・・・これでどうかな?」
「めっちゃうまいやん!」
一般的な基準ではなく、あくまでも菜緒の評価ではあるが。
「曲面だし、下書きなしだから難しいよな」
「せやかて、ええ記念になったやん!」
そう・・・確かに記念になった。
ある間違いがあったことも含めて。
(No.668完)
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