[No.667-1]流されている!?
No.667-1
登場人物女性=牽引役
女性=相手
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「卒業まで、あと少しね」
友人の口調から、それを待ち望んでいないことは分かる。
「そうだね・・・」
それは私も同じだ。
社会に出ることへの不安が日を追うごとに増して来ている。
「キラキラ輝いてるのは、川面(かわも)だけね」
何となく川辺を歩きたくなって、二人でここに来てみた。
「ほんと・・・いやみのひとつでも言いたくなっちゃうね」
川面に反射する太陽の輝きさえ素直に見ることができない。
「入社式はいつ?」
「あなたと同じ4月1日よ」
とは言え、別々の会社だ。
それに友人は、この町を出ることになる。
「そっか・・・」
別に友人としての縁が切れるわけじゃない。
でも、頻繁にはもう逢えない。
「色んな意味で不安だね」
「・・・うん」
春の暖かい日差しが、逆に寂しさを演出する。
「いいね・・・水鳥は気楽で・・・」
数羽の水鳥が、何とものんびりと泳いでいる。
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