[No.655-2]どんぐり
No.655-2
「小学生の時に男子の間で、ちょっとしたブームがあって」
学校の敷地内に、どんぐりの木が植えられていた。
今頃の季節は、同じように大量のどんぐりが落ちていた。
「いかに大きなどんぐりを探しあてるか、競争してたんだ」
その気になってみれば多少、大きさにバラツキがある。
「誰が始めたの?」
「・・・さすがに記憶にないな」
自然とそうなったような気がする。
「まぁ、子供がすることだからな」
大して意味の無いことに一生懸命になる。
「・・・で、一番になったらどうなるの?」
「自分が好きな女子の隣の席に座れるんだ」
担任の方針で、頻繁に席替えをしていた。
そこに目をつけた。
「席は自分たちで好きに決めてよかったので」
唯一のルールは男子と女子が隣同士に座ることくらいだった。
「・・・それなら、ストレートに言えばいいじゃん!」
「えっ!?なにがだよ」
彼女が手を差し出す。
「探してきたんでしょ?一番大きなどんぐり」
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