[No.652-2]三輪車の犬
No.652-2
「サイズは三輪車くらいだよね?」
昔は知らなくても、“今なら”私も話ができる。
「多分そう・・・犬用の車椅子みたい」
確かに以前調べて見たら、売り物もあった。
ただ、それについてはどうも手作りっぽい。
「見た目はイマイチなんだけど・・・」
それには飼い主の愛情が込められているように感じる。
「その犬も何だか楽しそうなんだもん!」
それに懸命に歩く姿が愛おしくもある。
「それ以来、いやでも目につくじゃん、やっぱり」
「あなたが言った通り、確かに愛おしく感じるわね」
ただ、そうなる原因を作ったのは人間でもある。
ある意味、矛盾した表現だ。
「それにしても、今頃気付くなんて遅いわよ」
「だって、丁度散歩の時間に重ならなかったから・・・」
おそらく、私よりも“散歩の時間”の方が正確だろう。
その気になれば毎朝、会えるはずだ。
「だから、今度聞いて見ようかと思って!」
そう、聞いてみたいことがある。
“今、幸せ?”ってことを。
(No.652完)
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