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[No.652-1]三輪車の犬

No.652-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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最近、頻繁に出逢うようになった。

「・・・知ってるよ」
「私も時々、見かけるから」

学校の近くだから、見かけている人も多いのだろう。

「転校してきたから、知らないと思うけど・・・」

友人が“その昔”を話してくれた。

「当たり前だけど、自分の足で歩いていた頃もあったのよ」
「・・・事故?」
「詳しくは知らないけど、そうみたい」

しばらくの間、見かけなくなったらしい。
でも、それを気にする人はいなかったようだ。

「特別、目立っていたわけでもないし・・・」
「単に“近所の犬”って感じだもん」

友人が冷たいわけじゃない。
飼い犬なんて、学校の周りだけでも掃いて捨てるほど居る。

「そうね、単なる一匹に過ぎなかったんだけど・・・」
「・・・だけど?」

ある日、状況が一変した。

「だって、車輪を付けて散歩してるんだもん!」

ふたつの車輪が、後ろ足の代わりだった。

(No.652-2へ続く)

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