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[No.649-1]○○が結んだ縁

No.649-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
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「うっとおしいけど、思い出すよね」

その言葉通りのことが一年前に起きた。

「・・・これ?」

一見すると何も居ない空中を指差す。
正確に言えば“こいつら”だ。
何百匹・・・いや、それ以上の数かもしれない。

「うん・・・一応、こいつらが結んだ縁じゃない?」

一年前、いつも通り、学校に続く小川沿いの道を歩いていた。
そして今と同じように、こいつらが飛び交っていた。

「ハプニングの産物だけどね」

こいつらの正体は春と秋に大量発生する、蚊のような虫だ。

「・・・痛かったでしょ?」

その虫をはらうために、手を振り回していた。

「まぁ・・・それなりに」

その手が、通り過ぎようとしていた彼の顔を直撃した。

「ほんとゴメンネ」

お互い徒歩だったので、幸いにもケガには至らなかった。

「でも、すごくビックリしたんだから」

まさかそんなことになろうとは思っても見なかったからだ。

「それは僕だって同じだよ」
「ただ・・・そのことで話してないことがあるんだ」

(No.649-2へ続く)

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