[No.648-2]月の欠片
No.648-2
「そうだけど・・・来年はふたりで見ることもないでしょ?」
「あっ・・・」
確かにそうだ。
来年の春にはふたりとも卒業してしまう。
「部活でいつも遅かったから・・・」
「・・・太陽よりも見ていたはずよ」
3年間、それこそ1日も休まずに部活を続けた。
それは友達も同じだった。
「それはそうね」
「だけど、私たち下ばっかり、向いてなかった?」
不甲斐なさに涙に暮れる日が少なくなかった。
「それは、あんたじゃん!」
「なに言ってんのよ!そっちこ・・・あはは」
言い終える前に笑い声に変わった。
「あはは・・・」
どちらでもない・・・お互いさまだ。
「知らないうちに、時間は流れてたのね」
苦しくも楽しい時間が永遠に続くと思っていた。
「ちょっと遠回りして帰らない?」
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