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[No.646-2]もがく先には

No.646-2

「しばらくは寮に住んでたんやけど」

専門学校に通っていた時期もあるらしい。

「けど、そこも居づらくなって」
「だから、あの人のところへ転がり込んだ」

もちろん“あの人”を知っている。
面識はないが、少なくとも良い印象は持っていない。

「家に戻ることは?」
「もう・・・二度とないやろな」

ただ、不思議と母親を憎む言葉を聞いたことはない。

「まぁ、ウチは生きてるわけでもなし・・・」
「死んでるわけでもなし・・・中途半端な存在やね」

すぐには彼女の言っていることが理解できなかった。
けど、後からジワジワと込み上げてくるものがあった。

「そっか・・・」

適当な言葉が見当たらない。
彼女の前ではどんなに気の利いた言葉でも軽く感じられるからだ。

「そんなウチでも幸せになれるんかなぁ・・・」

誰に向かって言ったわけでもないセリフだった。

その記事を読めば読むほど彼女と境遇が似ている。

「彼女も懸命にもがいてたよな・・・」

その先に決して光が見えなくとも・・・そして、この僕も。S646
(No.646完)
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