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[No.645-2]子供っぽさの反対

No.645-2

「・・・あるもの?」

あえて言うなら、子供っぽさの反対を行くシロモノだ。

「自転車のハンドル・・・」
「確か当時は“アップハンドル”って呼んでたな」

それはハンドルが上に長い・・・というか高い。

「あっ・・・それ知ってる」

長さも色々あったらしく、極端に長い人もいた。

「けど、なんで子供っぽさの反対なの?」
「当時、不良グループがよく乗っててさぁ・・・」

不良・・・とは言いつつも憧れもあった。
だからこそ、なりきれない分を自転車で誤魔化した。

「僕もそこそこ長いハンドルの自転車だった」
「ベースは前のままだけど」

つまり、そんな自転車が売っているわけではない。
ハンドルだけ取り替えるのだ。

「それだけで、ワルになれた気分だったな」

けど、それもほどなくして卒業することになった。

「逆にそれが恥ずかしくなってきちゃって」

自転車だけに、僕らと共に時代を駆け抜けてきた。
S645
(No.645完)
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