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[No.642-1]工事のおじさん

No.642-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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仕事だから・・・と片付けてしまえばそれまでだ。
けど、それだけじゃないものをそこに感じる。

「・・・尊敬しちゃうわね」
「えっ!わたしを?」

“・・・なわけあるかい!”と突っ込みたい気持ちを押さえた。

「残念ながら違うけど」
「じゃあ、誰なの?」

そう聞かれ、歩いて来た道を振り返った。

「ほら、あの人・・・」
「・・・ほらって・・・そんな人はだれもいないよ?」

友人がキョロキョロし始めた。

「居るじゃん!工事のおじさんが」
「そうなの!?」

ついさっき、工事中の道路を二人で通ってきた。
その時、ひとりのおじさんが誘導してくれた。
臨時の歩道を歩くようにと。

「・・・まぁ、ごく当たり前のことよね?」
「気付かなかった?」
「・・・何を?」

友人が特別鈍感な人だとは思っていない。
私たちはある意味“慣れ”過ぎているのだ。

「頭を下げてたよね?申し訳なさそうに」
「だって、それが仕事でしょ?」

果たしてそれだけなんだろうか・・・。

(No.642-2へ続く)

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