[No.637-2]食欲の秋
No.637-2
結局、あの後、せいじゅうろうは菜緒(なお)の家に置いてきた。
「・・・なにかあるよな」
いつものイタズラめいたことを考えているに違いない。
「それはそれで楽しみだけど」
来週の日曜日に、また菜緒の家に行くことになっている。
(せいじゅうろうはどこだろう・・・)
菜緒の家に着くなり、まずせいじゅうろうを探した。
(・・・見える範囲にはいないようだな)
いつもなら、何も言わなくても自ら登場してくる。
もちろん、そうさせているのは菜緒だが。
「・・・ところで、せいじゅうろうは?」
「あれ?今までそこにいてはったんやけどなぁ~」
言葉とは裏腹に少しニヤケた表情をしている。
恐らく、また何か企んでいるのだろう。
「ちょっと待ってな、探してくる!」
普通に考えれば、そんなことは在り得ない。
でも菜緒とならばそれが成立する。
「なんやぁ!そんなとこにおったんやぁ~」
その言葉と共にせいじゅうろうを連れて来た。
「食べ過ぎて、大きなってしもうてん!」
(No.637完)
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