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[No.637-1]食欲の秋

No.637-1   [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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日ごとに赤や黄に色づいて行くのが分かる。
季節はもう秋の装いだ。

「・・・よく食べるね?」
「そうなん?」

問い掛けたつもりが、逆に問い掛けられた。

「そうなん?・・・って、ケーキ5個は多くない?」

何個が相場なのかは知らない。
ただ、バイキングで出てくるような小さなものじゃない。
店頭で売られている一般的なサイズだ。

「これでも少ないくらいやで」

さすが女子と言うべきか・・・。
いわゆる“別腹”というものかもしれない。

「そや!せいじゅうろう貸して」
「ん?これか?」

カードケースに付けてあるせいじゅうろうを外して渡した。

「せいじゅうろうと一緒に食べるねん!」

そう言うと、せいじゅうろうをケーキに近付けた。
もちろん“食べるふり”だけだ。

「むしゃむしゃむしゃ・・・」
「・・・美味しい?」
「おいしいよぉ」

あくまでもせいじゅうろうが返事をしている。
俺の問い掛けも含めて、そのあたりは心得ている。

(No.637-2へ続く)

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