[No.630-1]ふるさと
No.630-1
登場人物男性=牽引役
女性=相手
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「ねぇ、昨日はどうだった?」
こう聞かれるのは分かっていた。
「まぁ・・・特には・・・」
「特に・・・って、だって久しぶりの帰省だったんでしょ?」
久しぶりどころか、かなり久しぶりだった。
それもあってか、姉も実家に顔を出してくれた。
「そうだね・・・姉とは5年振りに顔を合わせたよ」
「えっ!そうなの?・・・サラッと言うわね」
理由があって、実家に寄り付かなかったわけじゃない。
きっかけと言うか、いつもタイミングを逸していた。
「きっかけ?実家に帰るのに遠慮なんて要らないでしょ?」
「そりゃそうなんだけど・・・」
自分は自分で生活の基盤も出来ている。
あえて、肩身の狭い実家に行く必要もない。
「前にも話したけど、そこに自分の居場所はないからね」
高校の卒業と共に実家を離れた。
そして実家とは遠く離れた場所で生活を始めた。
「それは私も同じだけど、意識し過ぎじゃない?」
「・・・かもしれないけど」
ただ、今回の帰省では今までと違った気持ちが芽生えた。
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