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[No.626-2]“正”小説

No.626-2

「・・・で、どれくらい?」
「今日で3日目」

今まですれ違うときは、必ずふたりだった。
ひとりだけですれ違ったことは一度もなかった。

「だから、ビックリしちゃって」

まさか、書いたことが現実になるとは思ってもみなかった。

「そりゃ、驚くわよね」
「とにかく、心配で・・・」

小説と同じ展開になってきた。
あくまでも創作だったはずなのに・・・。

「どうする?」
「明日、声を掛けてみようか?」

「あっ!これも小説と同じ・・・」

それもそのはずだ。
その小説で会話を交わす二人は、私たちに他ならないからだ。
創作と言えども、ある程現実味を帯びた内容で書いている。

「でも・・・本当に声を掛けて大丈夫かな?」
「・・・う、うん・・・どうしようか・・・」

ただ、実行するとなればそれなりに覚悟が必要だ。

今日も彼女ひとりのすれ違った。
相変わらず、スマホをいじりながら・・・。

「転校しても連絡取り合ってるみたいだね」

離れていても二人連れは今も変わらない。
S626
(No.626完)
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