[No.628-2]秋に触れて
No.628-2
「雰囲気からして、在り来たりの答えじゃなさそうね」
「とは言え、とんでもないものでもないよ」
同僚が必死で考えている。
「人や犬猫でもないだろうし・・・」
「・・・乗り物でもないよね?」
どちらかと言えば、人や犬猫に近い。
「生物ってこと?」
「そうだよ」
「在り来たりな生物じゃないわけだし・・・」
とんでもない生物の名を言われそうな雰囲気だ。
ややこしくなる前に答えを言ったほうが賢明だろう。
「とんぼよ・・・多分、赤トンボ」
「えっ~!折角、色々考えていたのに~!」
今度、暇があったらその“色々”を聞くことにしよう。
「でね、前の方から私の顔めがけて飛んできたの」
考える間もなく、反射的に避けてしまった結果・・・。
「それで・・・汚れちゃったんだ」
「倒れた先が、草むらでよかったよ」
ススキの群生がクッション代わりになってくれた。
「できたら、もう少しスマートなかたちで秋に触れたかったけどね」
(No.628完)
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