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2015年8月

[No.628-2]秋に触れて

No.628-2

「雰囲気からして、在り来たりの答えじゃなさそうね」
「とは言え、とんでもないものでもないよ」

同僚が必死で考えている。

「人や犬猫でもないだろうし・・・」
「・・・乗り物でもないよね?」

どちらかと言えば、人や犬猫に近い。

「生物ってこと?」
「そうだよ」
「在り来たりな生物じゃないわけだし・・・」

とんでもない生物の名を言われそうな雰囲気だ。
ややこしくなる前に答えを言ったほうが賢明だろう。

「とんぼよ・・・多分、赤トンボ」
「えっ~!折角、色々考えていたのに~!」

今度、暇があったらその“色々”を聞くことにしよう。

「でね、前の方から私の顔めがけて飛んできたの」

考える間もなく、反射的に避けてしまった結果・・・。

「それで・・・汚れちゃったんだ」
「倒れた先が、草むらでよかったよ」

ススキの群生がクッション代わりになってくれた。

「できたら、もう少しスマートなかたちで秋に触れたかったけどね」S628
(No.628完)
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[No.628-1]秋に触れて

No.628-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(・・・今日は涼しいのね)

連日猛暑が続くと、1、2度下がっただけでも心地よく感じる。

(もうすぐ、9月だもんね)

風にもいくぶん、秋の気配を感じないわけじゃない。
真夏の風とはどこか違う。

「あっ!・・・ノンビリしてられないわね」

あまりの清々しさに、つい足を止めてしまっていた。

「おは・・・よう?」
「どうしたの・・・浮かない顔ね?」

やはり顔に出ているらしい。
もちろん、ちゃんとした理由がある。

「会社に来る時さぁ・・・」

今朝は珍しいほど、清々しく一日がスタートした。
踏み出す自転車のペダルもいつもより力強かった。
それなのに・・・。

「・・・そう言えば、服汚れてない!?」

今朝、走り始めてから数分後にあるものと衝突しそうになった。

「あるもの?」
「何だと思う?」

そんなつもりはなかったが、朝からちょっとしたクイズが始まった。

(No.628-2へ続く)

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ホタル通信 No.253

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.353  ひろめ
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性

たまに書くことがある“名前にまつわる小説”ですが、明るい
話ではありません。

小説後半の“ノートに落書きした”あたりから創作です。逆に
それまではほぼ事実なんですよ。
ただ、後半にも出てくる美保子(みほこ)さん自体は実在の人
物で、ひろめさんを含めて僕たち3人は同級生でした。

ある日、彼女のノートを目にした時、そこに“ひろ子”と書いて
ありました。
小学6年生にもなって自分の名前を間違える人なんて、さす
がに居ませんよね?だから、それを目にした瞬間、「もしかし
て・・・」と直感的にあることが頭に浮かびました。
僕も含めて男子としては、変わった名前をただイジっていた
感覚しか持っていませんでしたが、彼女はそうとは捕らえて
いなかったことに気付いた瞬間でもありました。

名前を書き換えていたことに僕しか気付いていなかったのは
小説の通りです。
ですが、この先の「ノートに落書きして名前を消す」という行為
は実際には行っていません。徐々にイジられることが少なくな
って行ったからです。
その理由は不明ですが、小説に書いたように「飽きっぽさもま
た小学生ならではだった」からかもしれませんね。T253

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[No.627-2]活躍の場

No.627-2

「なんか、たらへんなぁ・・・」
「・・・足りない?」

別に何かが外れているとか、商品の欠陥のことではないだろう。

「どういうこと?」
「キーホルダーとか付けたらええんちゃうん?」

どうやら、そっち系の“足りない”らしい。
大げさに言えば、きらびやかじゃない・・・と。

「そ、そうかな?」

持っているだけならそれでもいい。
けど、改札機にタッチさせなければならない。

「邪魔じゃないかな・・・」
「そんなことより、オシャレが優先やろ」

キーホルダーがお洒落かどうかは別にしても女の子らしい発想だ。

「そう言われてもなぁ・・・あっ、そうだ!」
「そや!」

菜緒(なお)も同じことを考えたようだ。

「スマホになってからは、活躍の場がなかったしな・・・」

多少、使い辛くてもお洒落じゃなくても、これが一番の答えだ。
S627_2
(No.627完)
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[No.627-1]活躍の場

No.627-1   [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「じゃじゃぁ~ん!」

登場のさせ方が昭和っぽいが気にしない。

「なにそれ?」
「なにってカードだよ、ICカード」

世の中からは、かなり遅れてのデビューだ。
振り返ればケータイを持つのも遅かった。

「それどこの?」
「北海道のだけど、こっちでも使えるよ」

折角なので帰省先でカードを作った。
全国区ではないが、幸いなことに互換性はある。

「・・・それに、ほら!」

ここぞとばかりにカード入れを見せ付けた。

「“せいじゅうろう”やん!」

ついでにカード入れも買った。
どうせ買うなら・・・と思い、これを選んだ。

「どうかな?」
「ええんちゃうん・・・」

ただ、言葉とは裏腹に表情が冴えない。
何か言いたげだ。

(No.627-2へ続く)

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[No.626-2]“正”小説

No.626-2

「・・・で、どれくらい?」
「今日で3日目」

今まですれ違うときは、必ずふたりだった。
ひとりだけですれ違ったことは一度もなかった。

「だから、ビックリしちゃって」

まさか、書いたことが現実になるとは思ってもみなかった。

「そりゃ、驚くわよね」
「とにかく、心配で・・・」

小説と同じ展開になってきた。
あくまでも創作だったはずなのに・・・。

「どうする?」
「明日、声を掛けてみようか?」

「あっ!これも小説と同じ・・・」

それもそのはずだ。
その小説で会話を交わす二人は、私たちに他ならないからだ。
創作と言えども、ある程現実味を帯びた内容で書いている。

「でも・・・本当に声を掛けて大丈夫かな?」
「・・・う、うん・・・どうしようか・・・」

ただ、実行するとなればそれなりに覚悟が必要だ。

今日も彼女ひとりのすれ違った。
相変わらず、スマホをいじりながら・・・。

「転校しても連絡取り合ってるみたいだね」

離れていても二人連れは今も変わらない。
S626
(No.626完)
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[No.626-1]“正”小説

No.626-1    No.621 二人連れ

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
事実は小説より奇なり・・・正しくその通りの出来事だった。

「ブログでさぁ、短編小説書いてるの知ってるよね?」
「もちろん!いつも楽しみにしてるわよ」

友人は数少ないユーザーの一人だ。
つまらない小説に付き合ってくれている。

「3週間くらい前に、二人組みの話書いたじゃん?」
「・・・確か、タイトルは“二人連れ”だっけ?」

貴重なヘビーユーザーに感謝だ。

「そう!いつも二人なのにある日、一人になった話」

実話をベースに書くのが私のポリシーだ。
二人連れ自体は本当のことだった。

「でもね、一人になってしまうのは創作だったんだよね」

それでも悲しい涙で終わるような結末にはしていない。
これも小説を書く上でのポリシーだ。

「それが・・・ね」
「・・・もしかして、この流れからすると・・・」

友人が只ならぬ雰囲気を察したようだった。

「本当にひとりに?」
「う、うん・・・」
「・・・スマホいじりながら走ってた」

つまり、正夢ならぬ“正”小説になってしまった。
偶然と言えば偶然だ。
だが、あまりにもタイミングが良すぎる。

(No.626-2へ続く)

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ホタル通信 No.252

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.395  漢字検定
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

タイトルやテーマである漢字検定から少し話は反れますが
一昔前の時代が見えてくる小説です。

「ケータイでも調べられるでしょ?」このセリフ、今なら「スマ
ホでも調べられるでしょ?」になります。
それにメールがどうのこうの・・・と書いてありますが、これも
LINEに置き換わりますよね?ホタル通信を書くにあたって読
み返した時、テーマよりも先にこのことが気になりました。

実話度は低めです。漢字検定を持っている人が居ること以
外はほぼ創作です。
いつも通り、オチを決めずなんとなく書き始めると、ごく自然
に手紙の話へと繋がりましたが、この時点でオチはまだ考え
ていませんでした。
で、そのまま書き進めていると、漢字検定と手紙の相性が良
い事に気付き、「添削」という言葉でお互いを結び付けたのが
オチになります。

ホタル通信では度々書いていますが、“商業的な小説”のパ
ターンですね。つまり、ショートショート的な構成です。ただ、
自分の作品でありながら、商業的な物はあまり好きではあり
ません。
読者の皆様には、こちらの方が良いとは思っているのですが
あえてそうしないことで、個性を出しているつもりなので、大目
に見て頂ければ。
T252

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[No.625-2]歴史の時間

No.625-2

「それに僕の場合、苗字だけじゃなくて」

下の名前も該当する人物がいる。

「・・・かなり有名じゃん!」

かなりどころか、戦国時代では一位、二位を争う有名人だ。

「だから、歴史の時間は結構、大変だったんだよ」

先生が苗字や名前を口にするたびに、教室がザワつく。
でも、先生も手馴れたもので、その場をうまくおさえてはくれた。

「それでも、結構、イジられたよ」
「小学生なら仕方ないよ」

でも、実はそんなに悪い気はしていなかった。
逆に少しだけ、時の人になった気分が味わえた。

「私はそんな苦労はなかったな」

彼女の苗字と名前は、これといった特徴はない。

「でも、これから先、苦労しそうなんだよね」
「これから先?」

何を言っているのか、すぐには理解できなかった。

「苗字が変わる可能性があるでしょ?」
「・・・それとも、あなたが変えてくれるの?」

「えっ!?」

突然、逆プロポーズされた。

「苗字が変わったら、とある女優と同姓同名になっちゃうからね」
S625
(No.625完)
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