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[No.624-2]ネコの親子

No.624-2

「ここから・・・見守ろうよ」

こちらの存在に気付いてないわけじゃない。
けど、まだ距離があるせいか、警戒心は薄い。

「そうだね」

親子水入らずを邪魔しちゃ悪い。

「うらやましいなぁ」
「・・・思い出させちゃった?」

昨年、母親を亡くした友人には、そんな風に映るみたいだ。

「仕方ないよ、そんな季節だし」

そのせいだろうか・・・
最近、友人に元気がない。
それもあって、今日は無理矢理にでも散歩に連れ出した。

「でも・・・ありがとうね」
「ん?なにが?」

一応、とぼけてみたが、バレてはいるだろう。

「・・・とにかく、今日は暑いわね~!」

私たちをさえぎるものは何もない。
時々、心地よい風が私たちを通り抜けて行く。

「あのネコもその風のひとつね」

友人がポツリとつぶやいた。
S624
(No.624完)
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