[No.624-2]ネコの親子
No.624-2
「ここから・・・見守ろうよ」
こちらの存在に気付いてないわけじゃない。
けど、まだ距離があるせいか、警戒心は薄い。
「そうだね」
親子水入らずを邪魔しちゃ悪い。
「うらやましいなぁ」
「・・・思い出させちゃった?」
昨年、母親を亡くした友人には、そんな風に映るみたいだ。
「仕方ないよ、そんな季節だし」
そのせいだろうか・・・
最近、友人に元気がない。
それもあって、今日は無理矢理にでも散歩に連れ出した。
「でも・・・ありがとうね」
「ん?なにが?」
一応、とぼけてみたが、バレてはいるだろう。
「・・・とにかく、今日は暑いわね~!」
私たちをさえぎるものは何もない。
時々、心地よい風が私たちを通り抜けて行く。
「あのネコもその風のひとつね」
| 固定リンク | 0
「(025)小説No.601~625」カテゴリの記事
- [No.625-2]歴史の時間(2015.08.01)
- [No.625-1]歴史の時間(2015.07.31)
- [No.624-2]ネコの親子(2015.07.30)
- [No.624-1]ネコの親子(2015.07.29)
- [No.623-2]ダイエットの教訓(2015.07.24)
コメント