« ホタル通信 No.249 | トップページ | [No.620-2]血が騒ぐ夏 »

[No.620-1]血が騒ぐ夏

No.620-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、この匂い何だかわかる?」

特別、際立った匂いはしていない。
言われてみると、少し感じる程度だ。

「青臭い・・・って言えばいいのかな?」
「そうね、そんな感じ」

植物だということは何となくわかる。
でも、今まで嗅いだことがない匂いだ。

「で、何の匂い?」
「アレよ」

同僚が数メートル離れた道路脇を指差す。
そこには青々と茂る一本の木が植えられていた。

「何の木なの?」
「いちじくよ」
「・・・いちじく?」

もちろん、それ自体は知っているし、見たこともある。
ただ、あくまでもスーパーで見かける程度の話だ。

「多分、そんな程度だとおもった」

こうやって、野生の状態のものを見るのは初めてだ。

「まだ実はなっていないけどね」

そういうと葉っぱに近づき、鼻をクンクンさせ始めた。

(そんなに良い匂いとは思わないけど・・・)

「この匂いを嗅ぐとね・・・」

急に同僚の顔が険しくなってきた。

(No.620-2へ続く)

| |

« ホタル通信 No.249 | トップページ | [No.620-2]血が騒ぐ夏 »

(025)小説No.601~625」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.620-1]血が騒ぐ夏:

« ホタル通信 No.249 | トップページ | [No.620-2]血が騒ぐ夏 »