[No.620-1]血が騒ぐ夏
No.620-1
登場人物女性=牽引役
女性=相手
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「ねぇ、この匂い何だかわかる?」
特別、際立った匂いはしていない。
言われてみると、少し感じる程度だ。
「青臭い・・・って言えばいいのかな?」
「そうね、そんな感じ」
植物だということは何となくわかる。
でも、今まで嗅いだことがない匂いだ。
「で、何の匂い?」
「アレよ」
同僚が数メートル離れた道路脇を指差す。
そこには青々と茂る一本の木が植えられていた。
「何の木なの?」
「いちじくよ」
「・・・いちじく?」
もちろん、それ自体は知っているし、見たこともある。
ただ、あくまでもスーパーで見かける程度の話だ。
「多分、そんな程度だとおもった」
こうやって、野生の状態のものを見るのは初めてだ。
「まだ実はなっていないけどね」
そういうと葉っぱに近づき、鼻をクンクンさせ始めた。
(そんなに良い匂いとは思わないけど・・・)
「この匂いを嗅ぐとね・・・」
急に同僚の顔が険しくなってきた。
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