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[No.619-2]檻に咲く花

No.619-2

「いつもほんまにありがとう」

さながら囚われの身のお姫様を救う王子様の気分だ。
シチュエーションはかなり違うが・・・。

「けど、うちにとっては王子様やで」
「あはは!ありがとう」

とりあえず、笑うしかない。
ただ、童話の世界で言う“王子様”とは大きく異なることがある。

「もうすぐ、着くよ」
「・・・そうやね」

檻に閉じ込めるために、わざわざこうして送り届けている。
そんな王子様は居ないだろう。

「じゃあ、またなにかあったら・・・」

彼女がまた小さくうなづいた。

(こんなこと何度、繰り返せばいいのだろう・・・)

見送る背中に、そう語りかけた。

名前は知らないが、見たことがある花だった。

「こんな場所でも綺麗に咲くもんだな」

まるで彼女の生き様、そのものだった。
S619
(No.619完)
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