[No.619-1]檻に咲く花
No.619-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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(ん?)
偶然、足元に目を落とした時だった。
「・・・花!?」
道路わきの側溝の中で、赤い花がひっそり咲いていた。
彼女を送って行くのはこれで何度目だろう。
「・・・大丈夫?」
在り来たりだけど、そんな言葉しか掛けてあげられない。
「うん、平気・・・いつものことやし」
「例の“彼”?」
彼女が小さくうなづく。
見慣れているとは言え、出来れば彼女の涙は見たくない。
「とりあえず、いつもの場所まででいい?」
「うん、そこでええよ」
いつも彼の家からやや離れた場所で彼女を降ろす。
「“もう、帰って来なくていい”ってメールが来たけどな」
でも、こうして彼の家に向かっている。
帰る場所がない彼女。
そして、それを知っている彼。
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