« [No.618-2]プールの時間 | トップページ | [No.619-2]檻に咲く花 »

[No.619-1]檻に咲く花

No.619-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(ん?)

偶然、足元に目を落とした時だった。

「・・・花!?」

道路わきの側溝の中で、赤い花がひっそり咲いていた。

彼女を送って行くのはこれで何度目だろう。

「・・・大丈夫?」

在り来たりだけど、そんな言葉しか掛けてあげられない。

「うん、平気・・・いつものことやし」
「例の“彼”?」

彼女が小さくうなづく。
見慣れているとは言え、出来れば彼女の涙は見たくない。

「とりあえず、いつもの場所まででいい?」
「うん、そこでええよ」

いつも彼の家からやや離れた場所で彼女を降ろす。

「“もう、帰って来なくていい”ってメールが来たけどな」

でも、こうして彼の家に向かっている。
帰る場所がない彼女。
そして、それを知っている彼。

(No.619-2へ続く)

| |

« [No.618-2]プールの時間 | トップページ | [No.619-2]檻に咲く花 »

(025)小説No.601~625」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.619-1]檻に咲く花:

« [No.618-2]プールの時間 | トップページ | [No.619-2]檻に咲く花 »