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2015年7月

[No.625-1]歴史の時間

No.625-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「思い出すなぁ・・・」

テレビで戦国武将の特集をしている。

「戦国生まれだっけ?」

面倒なのでスルーすることにした。
彼女もこれくらいなら心得ているからだ。

「ほら、僕の苗字・・・」
「それが?」
「戦国武将じゃないけど」

この言葉で彼女が気付いたようだ。

「確か・・・平安時代とかだっけ?」
「そうだね、それくらい」

この際、正確な時代は必要ない。

「小学生って、そんな程度でザワつくだろ?」

“そんな”に該当する説明はまだしていない。

「“同じ名前!”ってわけね」

でも、話は通じているようだ。

「言わば、“歴史あるある”ね」

教科書を開いた時点で、何となく皆がソワソワしている。
もちろん、この僕も同じだ。

「・・・で、先生がそれを読み上げると」

待ち構えていたかのように、誰もが“キター!”となる。

(No.625-2へ続く)

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[No.624-2]ネコの親子

No.624-2

「ここから・・・見守ろうよ」

こちらの存在に気付いてないわけじゃない。
けど、まだ距離があるせいか、警戒心は薄い。

「そうだね」

親子水入らずを邪魔しちゃ悪い。

「うらやましいなぁ」
「・・・思い出させちゃった?」

昨年、母親を亡くした友人には、そんな風に映るみたいだ。

「仕方ないよ、そんな季節だし」

そのせいだろうか・・・
最近、友人に元気がない。
それもあって、今日は無理矢理にでも散歩に連れ出した。

「でも・・・ありがとうね」
「ん?なにが?」

一応、とぼけてみたが、バレてはいるだろう。

「・・・とにかく、今日は暑いわね~!」

私たちをさえぎるものは何もない。
時々、心地よい風が私たちを通り抜けて行く。

「あのネコもその風のひとつね」

友人がポツリとつぶやいた。
S624
(No.624完)
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[No.624-1]ネコの親子

No.624-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
多少、離れていてもそれが何なのか分かる。
だからこそ、足を止めた。

「どうしたの?急に立ち止まって」
「ほら・・・あれ・・・」

友人はまだ気付いていないらしい。
それもそのはずだ。
友人の目線はスマホにあったからだ。

「・・・ん?イヌ・・・ネコ・・・?」
「ネコよ、それも親子のね」

小川沿いの小道でネコの親子がじゃれついている。
二匹とも同じ毛並みだ。

「なかなか見られない光景ね」

確かにそう言える。
テレビならまだしも、生でしかも野生だ。

「もっと近くで見てみない?」
「ちょ、ちょっと!」

歩き始めようとしていた友人の腕を反射的につかんだ。

「飼いネコだって、外では逃げちゃうくらいなんだから」

よほど人に馴れていない限り、逃げられるのがオチだ。
ましてや子供連れだ。

「・・・そうね、子供がいるもんね」

普段よりも警戒心は強くなっているはずだ。

(No.624-2へ続く)

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ホタル通信 No.251

小説名:No.202  第一印象
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性 

いつものことながらホタル通信を書くにあたって、小説を読み
直してみる。あぁ、彼女の両親と初対面する話なんだと・・・。

・・・と思っていたら、最後の一行ですね。
最後の一行を読むまでそう思っていました。自分で作ったと
は言え、久しぶりに読み直したこともあり、すっかり騙されま
した。これを人は手前味噌と呼ぶんでしょうね。

実話度はそこそこ高めで、彼女の両親ではなく、飼っている
犬と初対面する話です。ありがちですが、それを隠して、さも
彼女の両親に“挨拶に行く”のようなシチュエーションを演出
しています。
小説を書き始めた時は、そんなつもりではなかったのですが
あえて描写を手抜きする手法で書くことが多いので、結果的
にこのようなかたちになりました。
普通に書いていたら「あれ?これなら・・・」と思い、あえて犬
のことには触れませんでした。

でも、彼女の両親だけでなく、そもそも“人に会う”とは書いて
いません。
そんなに意識して緻密にも書いてもいませんが、「『また来て
ね!』って言ってたわよ」「ほんと?」という会話に対して、「表
情を見れば分かるわよ」というように返しています。
つまり“声は発していない、あくまでも表情だけ”ということを暗
に説明しています。

今回は妙に理屈っぽいホタル通信ですが、この小説自体は、
No.371 誘われた夜」と「No.372 誘った夜」へリンクする話な
んですよ。
T251

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[No.623-2]ダイエットの教訓

No.623-2

「それに、教訓も学んだし・・・」

毎日、アプリへ入力していたことであることに気付いた。

「どんな?」
「さっき、“グラフも表示できる”って言ったでしょ・・・」

縦軸は体重、横軸は日にちになっている。
横軸の目盛りは1週間、1ヶ月・・・といくつか変えることができる。

「1週間だとね、減っていないように見えても」

1ヶ月、90日・・・と目盛りを変えると徐々に減っているのが分かる。

「それ、案外盲点ね」
「そう!体重なんて日々増減するから・・」

挫折しそうな気持ちをそれが支えてくれた。
私のしていることは間違っていないのだと。

「それが教訓ってわけね」
「・・・まぁ、“反対の意味の”だけど」

できればもう少し早くその教訓に出会いたかった。

「彼との関係も徐々に冷めてたみたい」

忙しい毎日に忙殺され、変化に気付けなかった。

「距離を置くとか・・・視点を変えるべきだったな」

ダイエットから意外な教訓を学んだ。
S623
(No.623完)
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[No.623-1]ダイエットの教訓

No.623-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
ダイエットから学んだ意外な教訓がある。

「よく続けられるよね!?」

ダイエットを始めてから、かれこれ5ヶ月になろうとしている。

「まぁ、何とか・・・」

ことの発端は至ってシンプルだ。
体重が大台を突破したからだ。
それ以前に、見た目が怪しくなってきたせいもある。

「尊敬しちゃうよ!秘訣、教えてよ?」
「そんな秘訣なんてないよ」

カロリーの摂取量を抑え、軽めの運動を行う。
時々、自分にご褒美を与えながらも、これをしっかり守る。
これの積み重ねしかない。

「ほんと?」
「そのためにも、体重の管理はキッチリしたよ」

毎日体重計に乗り、体脂肪と共に測定する。
その結果をスマホのアプリへ入力もしている。

「へぇ~そんなアプリもあるんだ」
「うん、グラフも表示できて、色々メッセージも表示されて」

増えたとか減っただけじゃなく、応援もしてくれる。

「それならやる気も出るわね」

そのうち、これらが習慣化し、継続へと繋がった。

(No.623-2へ続く)

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[No.622-2]気になる視線

No.622-2

それから数ヵ月した頃から、彼女らは姿を見せなくなった。

「普通に考えたら・・・振り向いてもらえなくて」
「諦めたパターンでしょ?」

上から目線だけど、そう考えるのが妥当だった。

「でもな、見る以外の行為は何もなかったんだよ?」
「・・・それが乙女心じゃない?」

確かにそうと言えなくもない。
ただ、少なくても彼女はそんなタイプじゃない。

「それに他の二人だって」

決して大人しいタイプではなかった。

「結局あれは何だったのかな?って・・・」
「今でも思い出すことがある」

好意を寄せられていたのか、それとも・・・。

「・・・それとも?」

中学生と言えば女子の方がいろいろな面で大人な時期だ。

「スッキリしない出来事も、青春の1ページだろ?」

一応、強がってみる。
彼女らの行動に応えるのがこわかったことを隠すために。S622
(No.622完)
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[No.622-1]気になる視線

No.622-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
その三人の内、一人は顔見知りだった。
中学校に入る前の2年間は同じクラスでもあった。

「最初はさぁ・・・元クラスメートってことで」

単に僕の教室を覗きに来ているのかと思っていた。

「そうね・・・私も経験あるわ」

自分のクラスに馴染むまで、他のクラスの顔見知りに会いに行く。
入学してからしばらくはそんな行動をとることが多い。

「ところが・・・」

数ヵ月経ってもその行動は変わらなかった。
それどころか、人数が二人増えた。

「それが、その三人ね」
「あぁ・・・それに外で遊んでても」

校舎の陰から僕を見てる。

「勘違いかな?とも思ったんだけど」
「友達・・・の方?」

有りがちなパターンだ。
自分ではなく、いつも行動を共にしている友人の方を・・・。

「それで、わざと別の友人を誘ってみたんだ」

それでも彼女らの行動は変わらなかった。

(No.622-2へ続く)

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ホタル通信 No.250

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.350  どしゃぶりの雨の中で
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

改めて読み直してみると、「こんなのも書いてたんだな」と
つくづく思いました。

実話度は比較的高めで、雨にまつわることはほぼ事実な
んですよ。実際、傘を買うのを躊躇した結果、どしゃぶりの
雨の中を滑走することになりました。
話は少しズレますが、全力で自転車を走らせるので“疾走”
の方が適切なのかもしれませんが、ここではあえて滑走と
いう表現にしています。半端ない大雨で道路が軽く冠水した
ような状態であったため、水上を滑るように走るイメージから
この言葉を選びました。

そのどしゃぶりの雨に、無理矢理感は否めませんが、恋愛
を引っ掛けてみました。無理矢理・・・というくらいですから、
これに関しては創作です。
ただ、ドラマや映画では見掛けなくもないシーンだと思って
います。雨と失恋・・・絵になりますよね?
失恋という心の痛手を、雨に打たれる自分で表現しているよ
うに思えます。でもそこには悲しみだけではなく、それを乗り
越えようとする決意も含まれているような気がします。

ラストの1行は最初から考えていたわけではありません。
記憶は曖昧ですが、“雨と一緒に苦しみも流れてしまえ”と
いうセリフがあったからこそ、そこから自然にラストが決まり
ました。
T250

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[No.621-2]二人連れ

No.621-2

案の定というか、不安がそのまま現実となった。

「・・・今日も居ないわね」

あれから一週間が過ぎようとしている。
相変わらず相棒の姿はそこにはなかった。

「もしかして、入院でもしてるのかも・・・」
「明日、聞いてみる!」

彼女たちとは知り合いでもなんでもない。
単にすれ違うだけの関係だ。

「うん、そうしよう!」

突拍子もない友人の考えに肯定的な自分がいる。
自分自身がそんなことを経験しているからだろう。

(あれ!?)

あの日と同じように友人と顔を見合わせた。

「相棒も笑顔も復活してる!!」

つい、彼女たちにも聞こえる声でしゃべってしまった。
けど、彼女たちは何事もなかったようにすれ違って行った。
そこに何があったのか・・・想像はできる。
S621
(No.621完)
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[No.621-1]二人連れ

No.621-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(・・・あれ!?)

声こそ出なかったが、併走する友人と顔を見合わせた。

「どうしたんだろう・・・」

友人も同じことを考えていたらしい。

「・・・そうね」

通学途中にすれ違う女子高生。
・・・とは言え、私も女子高生のひとりだ。
いつも二人組みとすれ違っていた。

「心配だね」
「喧嘩でもしたのかな?」

その言葉には理由がある。
数日前から、彼女たちから笑顔が消えた。
いつもなら、おしゃべりしながら併走していたのに。

「じゃなきゃいいけど」
「今日はタマタマひとりだけかもしれないし」

たった一度だけで物事を決め付けるのは良くない。
けど、心配せずにはいられない。

(No.621-2へ続く)

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[No.620-2]血が騒ぐ夏

No.620-2

「な、なによ・・・」
「いちじくの木にはね、かみきり虫が・・・」

虫嫌いの私にとっては、耐え難い内容の話だ。
ゴマダラ、キボシ・・・名前だけでも十分気持ちが悪い。

「ちょ、ちょっとヤダ!」
「小学生の頃、よく取りに行ったっけな~」

よほど女子とは思えない会話だ。

「だから、この匂いを嗅ぐと血が騒ぐんだよね!」

ひとりで盛り上がっている。

「血が騒ぐって・・・」
「ほら、なんて言うか、野生の血というか・・・」

(そもそも野生じゃないでしょ!)

突っ込みたくなる気持ちを抑えた。

「どんな小学生だったのよ!?」
「・・・というか、そのまま今に至る!って感じかな」

見た目は完全にお嬢様系だ。
そんな風にはまず見えないところが羨ましくもある。

「そうかしら?別に隠してないけどね」

確かに、猫を被ってはいない。

「ち・な・み・にだけど、取った虫って・・・どうしてたの?」
「もちろん、標本にしてたわよ」

これについても、そのまま今に至っているらしい。
S620
(No.620完)
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[No.620-1]血が騒ぐ夏

No.620-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、この匂い何だかわかる?」

特別、際立った匂いはしていない。
言われてみると、少し感じる程度だ。

「青臭い・・・って言えばいいのかな?」
「そうね、そんな感じ」

植物だということは何となくわかる。
でも、今まで嗅いだことがない匂いだ。

「で、何の匂い?」
「アレよ」

同僚が数メートル離れた道路脇を指差す。
そこには青々と茂る一本の木が植えられていた。

「何の木なの?」
「いちじくよ」
「・・・いちじく?」

もちろん、それ自体は知っているし、見たこともある。
ただ、あくまでもスーパーで見かける程度の話だ。

「多分、そんな程度だとおもった」

こうやって、野生の状態のものを見るのは初めてだ。

「まだ実はなっていないけどね」

そういうと葉っぱに近づき、鼻をクンクンさせ始めた。

(そんなに良い匂いとは思わないけど・・・)

「この匂いを嗅ぐとね・・・」

急に同僚の顔が険しくなってきた。

(No.620-2へ続く)

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ホタル通信 No.249

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.320 靴の中から
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

久々に実話度100%の小説の紹介です。小説の冒頭にも
書いた通り、嘘のようで本当の話なんですよ。

二人の関係が、彼女の彼氏にバレているかも・・・そこから
始まります。
頻繁にメールをしていたわけでもなく、ましてや電話で話し
たことは数える程度しかありません。それでも、なんとなく
感付かれていたようです。
まぁ、こんな場合を想定していたからこそ、僕のニックネー
ムは“ホタル”でした。男性とも女性とも言い難く、それこそ
源氏名でも通ります。
実際、彼女もそんな関係の仕事をしていたので、それ自体
は不自然なものではありませんでした。

靴の中からメモ書きが・・・は本当なんですよ。
連絡の手段がケータイ全盛だからこその盲点でしょうね。
でも、今考えると、こっちのほうがバレるリスクが高いのか
もしれません。
とにかく、靴の中から出てきた時は、ビックリしたものの、
彼女らしい行動に大笑いしたものです。

実話度100%な小説だけに、読み返してみるととても懐か
しく思います。大袈裟ですが、僕の人生に大きな影響を与
えてくれた彼女ですから。
T249

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[No.619-2]檻に咲く花

No.619-2

「いつもほんまにありがとう」

さながら囚われの身のお姫様を救う王子様の気分だ。
シチュエーションはかなり違うが・・・。

「けど、うちにとっては王子様やで」
「あはは!ありがとう」

とりあえず、笑うしかない。
ただ、童話の世界で言う“王子様”とは大きく異なることがある。

「もうすぐ、着くよ」
「・・・そうやね」

檻に閉じ込めるために、わざわざこうして送り届けている。
そんな王子様は居ないだろう。

「じゃあ、またなにかあったら・・・」

彼女がまた小さくうなづいた。

(こんなこと何度、繰り返せばいいのだろう・・・)

見送る背中に、そう語りかけた。

名前は知らないが、見たことがある花だった。

「こんな場所でも綺麗に咲くもんだな」

まるで彼女の生き様、そのものだった。
S619
(No.619完)
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[No.619-1]檻に咲く花

No.619-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(ん?)

偶然、足元に目を落とした時だった。

「・・・花!?」

道路わきの側溝の中で、赤い花がひっそり咲いていた。

彼女を送って行くのはこれで何度目だろう。

「・・・大丈夫?」

在り来たりだけど、そんな言葉しか掛けてあげられない。

「うん、平気・・・いつものことやし」
「例の“彼”?」

彼女が小さくうなづく。
見慣れているとは言え、出来れば彼女の涙は見たくない。

「とりあえず、いつもの場所まででいい?」
「うん、そこでええよ」

いつも彼の家からやや離れた場所で彼女を降ろす。

「“もう、帰って来なくていい”ってメールが来たけどな」

でも、こうして彼の家に向かっている。
帰る場所がない彼女。
そして、それを知っている彼。

(No.619-2へ続く)

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[No.618-2]プールの時間

No.618-2

だからこそ気付いて欲しい・・・そろそろ・・・。

「・・・ん!?」
「ははぁ~ん」

よほど、そんな表情をしていたのだろうか?
ようやく気付いてくれたようだ。

「色白なの・・・気にしてるんだ?」
「・・・えっ!?」
「大丈夫よ!すぐに小麦色に変わるから!」

行かないから、焼けない。
簡単な理由だ。

「そ、それが・・・」
「・・・私も泳げないからいいじゃん!」
「知ってたのか!?」

完全な金槌ではないにせよ、まともには泳げない。
小学生の時、プールの時間は苦痛の何物でもなかった。

「・・・やっぱりね」
「かまを掛けたのか!?」

どうやらどこかの時点で見破られていたらしい。

「いつ気付いたんだ?」
「目はちゃんと泳いでいたわよ」
S618
(No.618完)
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[No.618-1]プールの時間

No.618-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
この季節になると思い出す嫌な記憶・・・。
特に暑い盛りは、ニュースでもその光景をよく目にする。

「ねぇ、今度プールに行かない?」

極力、その手の話題は避けてきたつもりだ。

「・・・そうだね、考えとく」
「前もそんなこと言ってなかった?」

そうこうしているうちに、夏が過ぎて行く。
それが狙いだ。

「そ、そうかな・・・」
「そうよ!去年だって」

確かに去年もそうだった。
でも、真夏に知り合ったお蔭ですぐに夏は過ぎて行った。

「仕方ないだろ?都合が悪かったんだから」
「じゃ、今年は大丈夫なんでしょ?」

夏になると急に予定が入る。
今風に言えば、エア予定だが・・・。

「どうだろう・・・夏は忙しいからな」
「休日も忙しいわけ?」

今年は去年のようにはいかないみたいだ。
気心も知れて、突っ込みも厳しくなってきた。

(No.618-2へ続く)

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ホタル通信 No.248

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.203  夕焼けの秘密
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

簡単に言えば「なぜ夕焼け空は赤いのか?」を、かなり遠ま
わしに小説にしたものです。

小説にも書いた通り、“夕焼け空”という、聞きなれた言葉を
印象付けるために、前半はソーラー発電ウンヌン・・・とあえ
て小難しく展開させています。
従って実話度が物語っている通り、そのあたりはほぼ創作
です。

ただ、全く無関係ではなく、たまたまソーラー発電に関する
記事を読んでいた時に、天候による発電量の違いから端を
発して、そのうち夕焼け空へと繋がって行きました。
「夕焼け空はなぜ赤いのか?」メルヘンの世界だけで片付
けても良いのでしょうが、科学的な真実を知るのも興味深
いものがありますよ。

全体としてはダラダラした作りになっており、何を伝えたい
のかハッキリしない内容です。
さらにラストは夕焼けではなく、空の青さ、さらにはブルー
な気持ちです。これ、答えがありません・・・つまり、思わせ
ぶりなことを書いたにもかかわらず、想定した答えや展開
を用意していません。
だからこそ、読み手の方々で色々広げて欲しいのです。
それこそ、どこまでも広がる青い空のように。
T248

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[No.617-2]ある猫の物語

No.617-2

「まっ・・・彼らには関係なさそうだけど」

そう言うと、2mほど先に居る野良猫を指差した。
陽気に誘われたのだろうか?
数匹が寄り添うように寝ている。

「・・・みたいだね」

彼らには彼らの時間が流れていた。

「あなた達も、ちょっとは見習いなさいよ!」

友人がその猫たちに話しかけた。
でも、目だった反応はない。

「野良なんだから聞く耳もってないってば・・・」
「・・・それもそうね」

世間の盛り上がりとは対照的な風景だった。

「でも、この場所も最高よね」

単なる公園の片隅にも、変わらぬ命が息づいている。
S617
(No.617完)
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