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[No.614-2]掃除のおじさん

No.614-2

「居そうでいないよ、そんな人」

その言葉通りかもしれない。
見られていなかったら、手抜きする人は多いだろう。

「・・・そうだな」
「仕事って、パフォーマンスもあるわけじゃない?」
「いかにも仕事してます!って」

彼女の言葉がグサリと胸に突き刺さる。
まるで僕のことを言っているかのようだった。

「それは私も同じ」
「評価ばかり気にしてる」

もちろん、僕も彼女もそればかりじゃない。
ただ、往々にしてそんなことが多い。

「だから、掃除のおじさん・・・本当にすごいなって」

置かれている環境は違うけれど。

「自分がそうなら同じことできる自信がないや・・・」
「・・・それは私もよ、だからね・・・」

そう言葉を続けると突然、おじさんに歩み寄った。

「お疲れ様です、いつもありがとう!」

人が人を突き動かし、それがまた人を突き動かす。
S614
(No.614完)
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