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[No.613-1]雨男の正体

No.613-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「ねぇ、昨日どうだった?」
「どう・・・って」

うそを付く必要はない。
正直に事実を伝えるまでだ。

「あっ!やっぱり!」

嬉しそうな表情がなんとも腹立たしい。

「これでまたひとつ“観測データ”が増えただろ?」
「そう怒らないでよ・・・真剣に調べてるんだから」

僕が雨男であることは疑いのない事実だ。
昨日も回復に向かっていた空が急変した。

「昨日もさ・・・外に出た途端だぜ?」

乾き始めていた道路に大粒の雨が踊った。
偶然で片付けるレベルはとっくに過ぎている。

「だから、こうやって調べてるんじゃない?」

僕の体が天候に何らかの影響を及ぼしている。
彼女はそう考えているようだ。
研究室に勤める彼女らしい発想だった。

「あくまでもプライベートな“趣味”としてね」

体の分子がどうとか雨の分子とか・・・大真面目に説明してくる。

「・・・僕への興味は尽きないだろ?」
「まぁね」

研究対象として僕は、このうえない上物だろう。

(No.613-2へ続く)

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