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[No.612-1]追憶

No.612-1  [No.588-1]トナカイのかぶりもの

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「・・・そう」

訃報はいつも突然だ。
心の準備など待ってはくれない。

「昨日・・・だって」

昨日、自分は何をしていたのだろう・・・。
あらためて問い直してみた。

「あれから、数ヶ月よね?」
「そうね」

あれからとは、私たちが写メを送った時からだ。
大真面目なトナカイのかぶりものだった。

「すごく喜んでくれてたよ」
「・・・というより、大笑いされた」

それでいい。
目的は大いに果たした。

「昨日・・・普通にショッピングして、カフェでお茶して・・・ね」
「・・・分かってる」

しばらく沈黙が続いた。
訃報を聞いて思い出した・・・そう言えば闘病していたことを。

「出てくる涙も何に対しての涙なんだろう?」

出てくる涙が嘘っぽい。
今は自分で自分を責めていたい。

(No.612-2へ続く)

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