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[No.608-2]消えてしまいたい

No.608-2

「正直、分からない」

電話もメール繋がらない。
だから、本当にどうなっているか分からない。

「その彼女がさ・・・そんなことをよく口にしてたから」

死ぬことに恐れはない。
けど、命を絶つことに抵抗がなかったわけじゃない。

「その葛藤の先にあったものが、それだと思う」

実際、その現場にも出くわしたこともある。
彼女の涙を見て、ようやくその意味が分かった気がした。

「その時は、未遂で終わったんだけどね」

だから、日々その不安を抱えていた。
そこに来て、突然連絡が途絶えてしまった。

「心配ね・・・」
「あぁ・・・無事を祈るばかりさ」

どこかで生きていて欲しい。
そんなことを想う、毎日だった。

「根拠は何もないけど生きてるわよ、きっと!」

彼女の言葉は誰よりも説得力がある。
S608
(No.608完)
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