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[No.608-1]消えてしまいたい

No.608-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
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「どうしたの?テレビに見入っちゃって・・・」
「ん?ちょっとな・・・」

とある有名人が亡くなった。

「ファンだっけ?」
「いいや、全然・・・」

名前を知っている程度だ。
その人が活躍していた時代までは知らない。

「そのわりには、何か言いたそうじゃん」
「ほら、遺書にさ・・・」

ちょっと引っかかるものがあった。

「消えてしまいたい・・・ってあっただろ?」

死を前にしながらも“死んでしまいたい”ではない。
“消えてしまいたい”だからだ。

「以前・・・身近な人もそんなこと言ってたんだ」

当時はどちらも同じ意味だと思っていた。

「・・・聞きにくいけど・・・今、その人は?」

ある日突然、連絡が途切れた。
あれから、もう5年にもなる。

(No.608-2へ続く)

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