« [No.607-1]謎のヒーロー | トップページ | ホタル通信 No.243 »

[No.607-2]謎のヒーロー

No.607-2

「問題?」

もしかしたら、ちょっとどころではないかもしれない。

「なんの人形か分からなくて」

つまり、何のキャラクターなのか・・・。

「普通、流行りや人気のヒーローとかだろ?」

けど、一度も見たことがないものだった。

「それに・・・」

子供から見ても作りが雑で、安物感が半端ない。
おもちゃ屋ではなく、スーパーに売ってそうなものだった。

「うれしいやら悲しいやらで複雑な心境だったな」
「でもね・・・当時、親ってそんなに情報通だった?」
「そんな時代じゃなかったような気がする」

確かにそうかもしれない。
それに良い意味で、親子には距離があった時代だ。 

「精一杯の愛情表現だったと思うな」
「・・・それは分かっているつもりだよ」

実際、子供ながら気を使った覚えがある。
無邪気に喜んで見せた。

「良い想い出じゃない?」
「まぁね・・・けど想い出とはちょっと違うかな」

色も形も随分と変わってしまったそれを今でも持っているからだ。
S607
(No.607完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
 ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.607-1]謎のヒーロー | トップページ | ホタル通信 No.243 »

(025)小説No.601~625」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.607-2]謎のヒーロー:

« [No.607-1]謎のヒーロー | トップページ | ホタル通信 No.243 »