[No.607-2]謎のヒーロー
No.607-2
「問題?」
もしかしたら、ちょっとどころではないかもしれない。
「なんの人形か分からなくて」
つまり、何のキャラクターなのか・・・。
「普通、流行りや人気のヒーローとかだろ?」
けど、一度も見たことがないものだった。
「それに・・・」
子供から見ても作りが雑で、安物感が半端ない。
おもちゃ屋ではなく、スーパーに売ってそうなものだった。
「うれしいやら悲しいやらで複雑な心境だったな」
「でもね・・・当時、親ってそんなに情報通だった?」
「そんな時代じゃなかったような気がする」
確かにそうかもしれない。
それに良い意味で、親子には距離があった時代だ。
「精一杯の愛情表現だったと思うな」
「・・・それは分かっているつもりだよ」
実際、子供ながら気を使った覚えがある。
無邪気に喜んで見せた。
「良い想い出じゃない?」
「まぁね・・・けど想い出とはちょっと違うかな」
色も形も随分と変わってしまったそれを今でも持っているからだ。
(No.607完)
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