[No.604-2]道すがら
No.604-2
「普通に食べて飲んで終わったけど・・・」
結局、彼とは一言も言葉を交わさなかった。
「うそでしょ!?」
「半径1m以内にも入らなかったわよ」
チャンスはあった、何度も。
でも、不思議とそんな気持ちにはならなかった。
「念のため確認するけど・・・好きなんだよね?」
「好きよ、とっても」
自分の言葉に矛盾を感じないわけではない。
「だったらなんで・・・」
「だから、言ったでしょ?」
「良い天気だって」
バーベキューの会場は最寄駅からやや距離があった。
でも、道すがら心地よい風と木漏れ日が私を後押ししてくれた。
「意味わかんない!?」
「だから、そういうこと」
自分でも不思議だと思う。
確かに駅を降りるまでは意気揚々だったからだ。
「道すがら・・・ねぇ・・・」
「会場に着く前に、もう十分!って感じだったの」
(No.604完)
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