[No.603-2]未来への伝言
No.603-2
「・・・あっ!」
「ん!?」
友人がなにか思い出したような表情をしている。
「そういえば、家にある・・・」
「・・・なにが?」
「え~っと・・・名前・・・なんだっけ・・・」
“ここまで出掛かっているんだけど”のパターンだ。
思い出せなくて悶絶している。
「ほら、ヘッドホンして・・・持ち歩け・・・」
「それ、ウォークマンでしょ?」
さっきまでの悶絶が歓喜に変わった。
「多分、一号機だと思う」
「父親がそんなこと言ってた」
「一号機って・・・ある意味、博物館ものじゃない!?」
たしか、その時代はカセットテープだったと思う。
「それにしてもよく持ってたわね、お父さん」
「いつも、それで聞いてたんだって・・・私の声」
友人が幼いころに、父親が録音したものらしい。
「さすがにテープは残ってないけど」
「ウォークマンは今でも父の写真の隣に置いてあるの」
(No.603完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(025)小説No.601~625」カテゴリの記事
- [No.625-2]歴史の時間(2015.08.01)
- [No.625-1]歴史の時間(2015.07.31)
- [No.624-2]ネコの親子(2015.07.30)
- [No.624-1]ネコの親子(2015.07.29)
- [No.623-2]ダイエットの教訓(2015.07.24)
コメント