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[No.603-2]未来への伝言

No.603-2

「・・・あっ!」
「ん!?」

友人がなにか思い出したような表情をしている。

「そういえば、家にある・・・」
「・・・なにが?」
「え~っと・・・名前・・・なんだっけ・・・」

“ここまで出掛かっているんだけど”のパターンだ。
思い出せなくて悶絶している。

「ほら、ヘッドホンして・・・持ち歩け・・・」
「それ、ウォークマンでしょ?」

さっきまでの悶絶が歓喜に変わった。

「多分、一号機だと思う」
「父親がそんなこと言ってた」
「一号機って・・・ある意味、博物館ものじゃない!?」

たしか、その時代はカセットテープだったと思う。

「それにしてもよく持ってたわね、お父さん」
「いつも、それで聞いてたんだって・・・私の声」

友人が幼いころに、父親が録音したものらしい。

「さすがにテープは残ってないけど」
「ウォークマンは今でも父の写真の隣に置いてあるの」

S603
(No.603完)
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