[No.600-2]ふたりの行方
No.600-2
「だけど、今の状態を続けても・・・」
毎日、つらい日々の連続だろう。
何度もそんな話も聞かされたし、現場を目撃したこともある。
「・・・分かってる」
「分かってるけど・・・」
悩む理由は分かっている。
彼女はもともと行く場所も帰る場所もなかった。
それを“宿主”は知っている。
だからこそ、何事も強気だ。
「行動に移すなら早いほうがいいよ」
「・・・メールする」
「ありがとう・・・考えとく」
まれに見る彼女の笑顔だった。
・・・と、その時はそう見えた。
でも、ふたりの想いが交わることはなかった。
「離れ離れになるなよ」
彼らが再び会えるようにと、言葉だけのお節介をやいた。
別々の方向にハトが飛んで行ってしまったからだ。
| 固定リンク | 0
「(024)小説No.576~600」カテゴリの記事
- [No.600-2]ふたりの行方(2015.04.15)
- [No.600-1]ふたりの行方(2015.04.14)
- [No.599-2]お手入れ(2015.04.10)
- [No.599-1]お手入れ(2015.04.09)
- [No.598-2]風化(2015.04.07)
コメント