[No.598-2]風化
No.598-2
「メールくらいくれてもいいだろ?」
「・・・ごめんね」
急にしおらしく、してしまった。
「とは言え、遠距離恋愛中の恋人同士じゃないわけだし」
「そうだけど、色気がないこというなよ」
彼とは、昔同じ職場で働いたことがある同僚だ。
特別な感情はない・・・つもりだ。
「ちょっと、しんどい時期があってね」
「そう・・・わかった」
「これ以上聞かないの?」
聞かれなければ聞かれないで、どこか寂しい面もあるが・・・。
「それで十分だよ」
「・・・ありがとう」
電話もメールもできないほどじゃなかった。
けど、到底、そんな気にはなれなかった。
「言わば、2年という時が解決してくれたわけだ?」
「そうね・・・風化とは良く言ったものよ」
いつの間にか、風に吹かれて傷も癒えた。
「傷が風に化けて消えて行った・・・そう考えるのも悪くないな」
(No.598完)
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