[No.587-2]私の名は竜王
No.587-2
主役ではないけれど、準主役級の役だった。
「なんで、よりによって・・・」
「でも、結構、似合ってたよ」
私は王様の役だった。
「王様は王様でも“女王様”が良かったんだけど!」
もちろん男女共学の学校だ。
普通に考えれば、男子が王様役になるはずだ。
「セリフもバッチリだったよ」
私の想いとは裏腹に、劇は大成功を収めた。
「今でもセリフ覚えてる?」
「覚えてるよ、とくに“アレ”なんか・・・」
人間界からの侵入者を前に王様は、こう声を発した。
「“私の名は竜王!人間よ、このわしになに用じゃ!”」
「あった、あった!」
竜王の前で、ひれ伏す人間・・・。
その人間は、私の初恋の相手だった。
(No.587完)
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