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[No.583-2]知れば知るほど

No.583-2

「ほら、こうして二人きりで逢うようになったじゃない?」

彼とは十年来の知り合いだ。
でも、こうして親密に話すようになったのは、一年くらい前からだ。

「あっ、うん・・・」

ましてや二人きりで逢うようになったは、ごく最近だ。

「あなたのこと、知れば知るほど・・・なんか・・・ね」

別に彼のことを“男性”としてみているわけじゃない。
でも、知れば知るほど、別れがつらくなる。

「・・・それは、僕もだよ」
「多分、同じ気持ち」

友達以上恋人未満とはよく言ったものだ。
今の二人には、まさしくこの言葉がピッタリ当てはまる。

「明日・・・早いの?」
「ううん、前よりは少し余裕があるよ」

明日の午後早く、大阪に戻るみたいだった。

「そっか・・・」

しばらくの間、沈黙が続いた。
お互い、“次、いつ逢える?”という言葉を切り出せないまま・・・。S583
(No.583完)
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