[No.579-2]わがままの先
No.579-2
「・・・やっぱり、うちってわがままなんやろか?」
「かもしれない」
冗談っぽく、本気で答えた。
けど、悪気はない。
お互い、納得ずくの会話だ。
「やっぱりぃ!」
「でも、別にそれが悪いってわけじゃないだろ?」
確かに、わがままで苦労はした。
けど、それが理由で彼女のことを嫌いになることはない。
「ホンマに?」
「だから、ホンマに!」
彼女だから、わがままを許せる。
彼女でなければ、同じわがままでも恐らく許せないだろう。
「せやったら、これからもわがまま言うで」
「どうぞ、好きなだけ」
この言葉にウソはない。
わがままを言える人間が、もう僕しかいないからだ。
ひとりぼっちの彼女には・・・。
(No.579完)
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