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2014年12月

[No.582-1]クリスマス

No.582-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、覚えてる?」

いつもなら突然の問い掛けに“何を?”と返しているところだ。

「もちろんだよ」

でも、今日はこれだけでもお互い会話が成立する。

「本当にプレゼントされるとは思ってなかったの」
「君が望んだものだろ?」

クリスマスのプレゼントに栄養剤をリクエストされた。

「そりゃそうだけど」
「ジョークのつもりじゃなかったわけだろ?」

栄養剤になったのには、それなりのいきさつがあった。

「・・・確かに、疲れてたから」

だからといって、ダイレクトな答えを求めたわけじゃない。
お互いの照れ隠しの結果が、それになった。

(No.582-2へ続く)

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ホタル通信 No.230

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.331 ライバル
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

話のベースになるものは事実としてあったのですが、それ以外は全て創作です。

仕事上で繋がりのある女性がいました。その人とはライバル関係にあったわけではないのですが、何となくお互い「ライバル関係だったら相手に不足はないよね」なんてことを、よく話していました。
その女性は、どちらかと言えば“縁の下の力持ち”的な仕事をしていたので、僕のその発言をとても喜んでくれました。
もちろん、僕は彼女に、お世辞を言ったわけではありません。
このような日頃からライバルというテーマが脳裏を過ぎっていた中で、ある日“竜虎の対決”という、よくあるフレーズと結び付いて、この小説は誕生しました。ですが、オチがコミカル調になったのは予定外でした。
いつも通り、オチは考えず書き進め、自分としては少しホッコリ系でラストは飾られるのかな?なんて、おぼろげながら考えていました。

“竜虎の対決”なんて、本来はコミカルなものではありませんからね。でも、それを女性に対して使った時、“ギョロ”っと睨まれてしまうような・・・そんなイメージがラストを飾っています。
T230
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[No.581-2]リメンバー

No.581-2

「同じ電車かと思ったの」

“乗り換え駅に到着した”と僕が彼女にメールした。
それを勘違いした。

「僕は乗り換えずに、降りちゃったから」
「一緒に行けるかな?なんて思ったの」

その言葉が妙に印象的だ。
その昔・・・その時は同じ電車に乗り、目的地に行けたからだ。

「そうだね、残念!」
「じゃあ、また今度、そうなるように狙おうか?」

だから、どうしたという行為じゃない。
でも、逆に新鮮に感じる。

「なんか、恥ずかしいな・・・いい大人が」
「そうかな?」

同時のことが頭をよぎる。

「経験済じゃないの?さっきから、顔にそう書いてあるよ」S581
(No.581完)
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[No.581-1]リメンバー

No.581-1     [No.417-1]待ち合わせ

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
『同じ電車待ってるのかな?』
『今、電車来ましたよ』

(・・・ん?)

何気ないメールに、妙な感覚におそわれた。
昔・・・こんなシチュエーションを体験したことがある。

『僕は降りて改札を抜けたよ』

ここからなら、目的地には歩いても行ける距離だ。
わざわざ、電車を乗り換える必要もない。
それに、待ち合わせ時間に対する時間調整の意味もあった。

「それにしても・・・」

待ち合わせ時間は、約30分後だ。
この早さ・・・これも経験済だ。

「私の方が早かったね」
「早すぎない?」

結局、僕も15分前には目的地に到着した。

(No.581-2へ続く)

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[No.580-2]それがモチベーション

No.580-2

「そうね・・・私も、それじゃ“嬉しい”止まりね」
「でしょ?」

そもそも、“何が”モチベーションを上げてくれるか?
私、自身もよく分かっていない。

「それは私も同じ」
「どうしたら、上がるのか、分かってない」
「・・・そうよね」

そのままふたりして黙り込んでしまった。

「・・・で・・・も」
「えっ・・・なに?」

口火を切ったのは同僚の方だった。

「・・・さんには負けたくないんだよね」

聞いたことがある名前だ。

「彼女と私・・・どちらかのアイデアが採用されるの」
「確か・・・美人でも有名な人だよね?」

才色兼備という言葉は、彼女のためにあると言っても良い。

「そう!だから絶対に負けたくない!」
「・・・アハハ」
「な、なによ!?」

同僚の場合は、それがモチベーションのようだ。
S580
(No.580完)
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[No.580-1]それがモチベーション

No.580-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、相談があるんだけど?」

同僚が“いつもより”は、神妙な面持ちで話しかけてきた。

「週末の合コンで何かあったの?」

相談ごとの九割は、男性に関することだ。
かろうじて残る一割が仕事の話だ。

「違うわよ!仕事のこと!」
「うそ・・・そっち!?」

(これはこれで面倒なことになりそうね・・・)

「・・・なんか引っかかるけど、まぁ・・・いいわ」
「モチベーションが上がる時って、どんな時?」

「い、いきなり、来るわね・・・」

なるほど・・・神妙な顔にもなるテーマだ。

「・・・担当になったの?」
「まぁ・・・ね」

企画部らしいテーマだ。
確かに、ここ数年、モチベーションの低下が問題視されている。

「表彰したり、報奨金だしたり・・・じゃなくて」

言いたいことはわかる。
どちらも嬉しくないわけじゃない。
けど、モチベーション向上に直接結び付かない。

(No.580-2へ続く)

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ホタル通信 No.229

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.310 名も無き彼女
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

この話は、過去の出来事を思い出しながら進んで行くタイプであり、よく使う手法です。

従って、実話度80%は昔話の内容で、ほぼ当時のことを再現できています。
今でも時々思い出すことがあるくらい、反省している出来事のひとつです。若気の至りもあったと思いますが、かなり高飛車でした。
加えて、彼女の友達を好きになる・・・そして、付き合うことになったんですよね。それも、僕から一方的にアタックしたのではなく、お互い好きになりました。

そんなこんな状態ですから、高飛車にもなりますよね。自分はもてるんだと。
けど、いわゆる“モテ期”はその後、数年間だけで良い思いをした分、冬の時代もやってきました。人生はうまく出来ていますよね。

話を戻すと、いわゆる三角関係の時期が続きました。でも最初の彼女とは結局、まともに会話することもなく、自然消滅しました。それに、その後、彼女の友達とも別れることになりました。

彼女の名前を今でも思い出すことができません。これからも思い出すことはないと思います。だからこそ、いつまでも忘れることができません。
T229
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[No.579-2]わがままの先

No.579-2

「・・・やっぱり、うちってわがままなんやろか?」
「かもしれない」

冗談っぽく、本気で答えた。
けど、悪気はない。
お互い、納得ずくの会話だ。

「やっぱりぃ!」
「でも、別にそれが悪いってわけじゃないだろ?」

確かに、わがままで苦労はした。
けど、それが理由で彼女のことを嫌いになることはない。

「ホンマに?」
「だから、ホンマに!」

彼女だから、わがままを許せる。
彼女でなければ、同じわがままでも恐らく許せないだろう。

「せやったら、これからもわがまま言うで」
「どうぞ、好きなだけ」

この言葉にウソはない。
わがままを言える人間が、もう僕しかいないからだ。
ひとりぼっちの彼女には・・・。
S579
(No.579完)
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[No.579-1]わがままの先

No.579-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
彼女の性格を一言で言えば、わがままだ。
何度もそれで苦しめられた。

「・・・そう思わへん?」
「お、思う!、思う!」

自分の意見を言うだけでなく、意見を求めてくる。

「ホンマに、そう思てる?」
「ホンマ、ホンマ!」

つられて関西弁になってしまう。

「なら、ええけどな」

時々、他人には理解しがたい考えを口にする。
ただ、彼女自身だけの問題じゃない。
彼女の境遇がそうさせている。

「なぁ、うちってめんどくさい?」

ストレートに聞かれた。

「そうだなぁ・・・時々」

僕もストレートに答えた。

(No.579-2へ続く)

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[No.578-2]バチあたりな行動

No.578-2

「それは、ちょっとお気の毒ね」
「でしょ?だから、昨日、とっちめてやったの」

帰宅後、懐中電灯を持ち出し、ハトに向けた。

「そしたら、驚いて逃げちゃったんだよね」
「そりゃそうでしょ!」

この調子で行けば、何度か試せば退散してくれるだろう。
ここは危ない場所だってことを理解して。

「けどさぁ、いくらなんでもかわいそうじゃない?」
「別にケガさせてるわけじゃないし」
「・・・いつか、バチが当たるわよ」

そんな“昔話”の様な出来事なんて起こりはしない。

「風邪、長引いてるわね?」

そのセリフの後に“だから言ったじゃない!”と続きそうだった。

「バチが当たったと思ってるでしょ?」
「もちろんよ」

もちろん、信じてはいない。
けど、風邪を引いたタイミング的に強く否定することもできない。

「でも、ハトのバチのこといってるんじゃないよ」
「イライラして、八つ当たりしてたことに対するバチよ」
S578
(No.578完)
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[No.578-1]バチあたりな行動

No.578-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(また、今日も居るぅ!)

意識して確認すると、やはり今日も居た。

「ほんと、頭にきちゃう!」

寝不足がたたり、自覚するほどイライラしている、

「な、なによ・・・朝から?」
「ちょっと聞いてよ!」

ここ数週間の、とある話をした。

「またハトの話?よほど好きなのね」
「違うわよ、逆に大嫌い!」

現場は寝室から見えるエレベータホールの窓だ。
その窓に、一匹のハトがとまっている。

「別にいいじゃん、それくらい?」
「そこで夜、寝てるのよ!」

寝てるだけなら問題はない。
問題は早朝にある。

「早朝?・・・ということは、朝から例の鳴き声?」
「当たりぃ!」

神経質なことも手伝って、すぐに目が覚めてしまう。

(No.578-2へ続く)

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ホタル通信 No.228

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.266 思い出すもの
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

毎度のことで恐縮ですが、実話度100%であっても、作者が語り手だとは限りません。

実話度100%なので、読んで頂いた通りです。脚色もほとんどないので、ほぼ実話を再現できています。
彼女は度々、当ブログに登場してくれる人で、当初、“メールの返信が極端に遅い”ことが特徴でした。
それが彼女との連絡の手段がメールからLINEへ変わったことで“返信が遅い”彼女も変化して行ったんですよ。今では向こうからバンバン、連絡が入ってきます。

ですから、この小説は懐かしくもありますね。
彼女と離れ離れになった後、今回の小説を機に、時々お菓子が送られてくるようになりました。
それが何を意味しているのか、意味していたのかは今でも分かりません。多少、何らかの期待もあったし、夢を壊さないためにも、本心は知らずに居ようと・・・。

実話度100%であり、ストーリー性もあるため、小説っぽくしやすく、サクサク書き上げた記憶があります。
まぁ、事実をなぞっているだけですから、ズルイと言えばズルイのですが。
いずれにせよ彼女は、小説になりそうなネタを運んでくれる人です。笑いあり、涙あり・・・です。
S228_2
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[No.577-2]白紙のページ

No.577-2

「メインは後者じゃないの?」
「・・・かもしれない」

食欲の秋とは良く言ったものだ。
どこかで祭りと通じているのかもしれない。

「話は戻るけど、ほんと落ち着くんだよね」

秋と言っても、日中は穏やかだ。
それに肌寒いくらいが、ウロウロするには丁度良い。

「・・・なんか、色々思い出しちゃうわね」
「へぇ~興味あるんだけど?」
「聞きたい?」
「そりゃもう!」

友人をだますつもりはないが、これにはそれなりのオチがある。

「祭囃子、人ごみ、屋台・・・」
「うん、うん!」

友人の顔が期待に溢れている。

「・・・で!」
「何もない・・・」
「・・・私自身には何もなかったのが思い出よ」

青春には、白紙のページだってある。
S577
(No.577完)
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[No.577-1]白紙のページ

No.577-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「これって、あなたの地元だったよね?」

自分から言う前に、先に友人に言われた。

「そうだよ」

お祭りで使うお神輿がニュースで流れている。
どうやら、私の地元はそれの有名な産地らしい。

「・・・らしいって、知らなかったの?」
「うん、恥ずかしながら」

確かにお祭り自体は、盛んに行われていたように感じる。
それは、いくつかの町に住んでみて分かったことだ。

「ところで・・・ついでに聞きたいことがあるんだけど」
「なに?」

私の中で、祭りと言えば秋だ。

「私は・・・やっぱり、夏かな?」

確かに夏も捨てがたい。

「秋ってさぁ・・・なんか落ち着くんだよね」
「それだけの理由?」
「ほら、温かい食べ物が丁度良いじゃない!」

肌寒い季節だからこそ、普段よりも美味しく感じられる。

(No.577-2へ続く)

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