[No.576-1]いもケーキ
No.576-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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今でも胸が熱くなる一枚の写真がある。
「これって、あなたの誕生日?」
父親のひざの上に座っている僕。
その手前にはロウソクが数本、輝いている。
「うん・・・何歳かは覚えてないけど」
白黒でしかも画質もそんなに良くはない。
さすがに、本数まで数えるのは難しい。
「ロールケーキね、これ?」
「まぁ・・・かたち的には」
自分も聞かされるまで、ロールケーキだと思っていた。
「違うの?」
「違うわけではないけど、なんて言うか・・・」
つまり、中身と言うか、材料が違う。
「これ、さつまいもで出来てるんだって」
「さつまいも!?」
これを作ってくれたのは父らしい。
母からそれを聞かされた。
「さすがに、何の記憶も残っていないけど」
「へぇ~・・・器用なんだね」
ただ、あまり他人にはしたくない話だった。
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