[No.571-2]予行演習
No.571-2
「名前は分かんないけど・・・」
朝方、ある鳥の鳴き声で目が覚める。
さえずりという優雅なレベルではない。
「それがさぁ、半端なく甲高くて」
それこそ、耳をつんざく鳴き声だ。
一度、目が覚めたら二度と眠りに付けない。
「それは大変ね・・・」
もともとかなり神経質なことも災いしている。
少しの物音でも寝られないタイプだし、目も覚めてしまう。
「ここ数日、寝不足で・・・」
それに、イライラ度も頂点に達しようとしている。
「慣れるしかないんじゃない?」
「・・・私には無理ぃ!」
不思議なことに、慣れれば慣れるものだ。
あの鳥の鳴き声が気にならなくなっていた。
「最近、顔色もいいじゃない?」
「そ、そうかなぁ」
「ところで、彼とは上手くやってけそう?」
最近、彼と結婚を前提に同棲を始めた。
彼のいびきが気にならないのは、あの鳥のお陰だ。
(No.571完)
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