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[No.563-2]勿忘草

No.563-2

「ごめん、本来は必要ないね」
「・・・ハンドルネームで十分やもんな」

だから、本名なんて名乗る必要がない。

「でも、なんで教えてくれたの?」
「せやね・・・何でやろう?」

少なくとも僕から聞いてはいない。
それに、知りたいとも思わない。

「知らんほうが良かった?」
「ん?いや、そうじゃないんだけど」

知ったところで何かが変わるわけでもない。
けど、知れて良かったかもしれない。

「じゃあ、“奈央ちゃん”でいい?」
「ええよ」

この瞬間、彼女は“綾”から奈央に替わった。

今でも彼女の自己紹介を思い出すことがある。

「今は“南沢奈央さん”の・・・って紹介してるのかな?」

秋晴れの空に、彼女の面影が重なる。
S563
(No.563完)
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