[No.562-2]涙の量
No.562-2
「だったら、その涙・・・どう説明するの?」
「正しくは“涙の跡”になるのかもしれないけど」
彼に別れを告げた後、夜通し泣き続けた。
「それこそ、枯れるまでね」
夜が明ける頃には、もう涙は出なくなっていた。
「でもね、正直に言えば・・・」
枯れたというより、泣き疲れて、どうでも良くなってきた。
「そしたら不思議なことに、どう頑張っても泣けなくなって・・・」
「・・・」
友人の沈黙は、すぐに大笑いに変わった。
「ちょ、ちょっとなにそれ~!」
「そんなに笑わなくていいじゃない!」
本当に涙は出なくなってしまっていたからだ。
「じゃあ・・・後悔は?」
「もちろん、してないわよ」
「涙が枯れた時、そう決意したの」
涙は枯れることはない。
けど、枯れたように見えることはある。
(No.562完)
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